小さな定食屋ですが、カレーはなんと東京の名店の味がします。
神保町の知る人ぞ知る名店「ボンディ」の味によく似ているのです。
社会人なりたてのころ、神保町の古書店街にネタ探しに行くときのランチの楽しみがふたつありました。
ひとつは「ふらいぱん」という小さな店のマグロ中落ち定食。そしてもうひとつが「ボンディ」のビーフカレー。
どっちに行くか悩んだものです。「ボンディ」は当時から結構な値段がしましたが、薄給を絞り出してでも食べたい逸品。最初に出てくるふかしたジャガイモの皮をちまちまむき、マーガリンをつけてかじりながら待つのが至福のひとときでした。
その「ボンディ」によく似たカレー。粘度高くトロっというよりボテっとしたカレーソース(ルー)を口に含むと、最初にくるのは深いコク。続けて果物の甘さ。ほのかな甘酸っぱさと香りをまとっています。これはおいしい。
注文したのは「牛スジ豚カツカレー」(880円)。けっこう牛すじがゴロゴロ入っていて、柔らかい。
一方でとんかつは肉の味はいいのですが、肩ロースなのかやたらスジが入っててちょっとばらけた上に食べにくい。
この店では「チキンカツ定食」(750円)も食べたことありますが、チキンカツは大きくて身が厚くふっくらして美味だったので「牛スジチキンカツカレー」(780円)のほうが満足感が高いかもしれません。
それにしても福岡で、しかも平尾という小さな駅から徒歩10分ほどの住宅街の小さな定食屋で神保町の名店の味に巡り会えるとは思っていなかっただけに驚きました。カレー好きはぜひ一度行ってみるべき店だと思います。
そのほか、「チキン南蛮定食」(800円)は甘酢だれにしっかり漬け込まれたタイプで非常に美味。
ほかのメニューも一切ハズレがなさそうです。
ぜひ。
「キッチンタナカ」(福岡平尾・定食/カレー)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40040166/