「熊本バル」を名乗るこの店。
醤油の原材料になんと砂糖が堂々と記されている九州の中心に位置する肥後の郷土料理として、甘々・コテコテの料理のオンパレードかと思えば、意外にもそうではありません。
たとえばランチのチキン南蛮。
宮崎を発祥とする九州の料理を代表する一品ですが、本場のそれが鶏肉を揚げてすぐ濃い甘酢にべっとり浸し、マヨネーズコテコテのタルタルソースが全体を覆い尽くさんばかりにかけられるのに対し、ここのチキン南蛮はあっさり目の薄い甘酢を上からかけるだけ。しかもタルタルソースはさわやかで、ちゃんとした手作り。
鶏肉は下味さえ薄めでシンプル極まりない味。これを薄い甘酢とあっさり目のタルタルソースで自分で調節しながら食べられるのですから、本場のチキン南蛮のように途中で辟易したりすることがありません。
オーナーは熊本出身とのことですが、洗練されたプロの技を感じる一品となっています。
それは「馬すじカレーライス」でも同じ。
ひと口目に感じるのは、適度な酸味と玉ねぎの粒子。そして独特のコクとともに馬肉の味がついてきます。火を通すと硬くなる馬肉の特性を考え、そぼろ状にしてから馬肉をふんだんに投入してあるのでしょう。
ほどよい辛さと酸味、そして馬肉から醸し出されるコクがいい塩梅となっていて、上品なカレーとなっています。
このほか、熊本にこだわったメニューも数多く、ぜひ夜もまた行ってみたくなる店です。
「うせがたん」(神泉・熊本料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13116295/