目指してたのはブラジル料理店でした。
翌朝早くからの仕事のために宿泊した成田。
航空会社のクルーをはじめ外国の人々が滞在する国際色豊かな街だと聞いてたし、内陸だから魚もたいしたことなかろうと思って、肉に。
ところが途中、なんか良さげなオーラを放つ居酒屋を発見。でかいちょうちんといい、和風のたたずまいといい、抗いがたいものを感じてついふらふらと。
予約なしでひとり。通されたのは小さなカウンターでした。
よく見ると店は大きく、1、2階合わせて100人は入れそうなのにカウンターは5席だけ。
ひとり客なんてカネになりませんから普通なら適当にあしらわれそうですが、目の前のご主人はとても気さくで、包丁を握りながらもいろいろと相談に乗ってくれます。
メニューに載ってたアジの刺身がないとのことで代わりに勧められたカンパチのまあ脂の乗りのいいこと。厚切りで、腹身のほうには細かい包丁が入っています。
まったりとした舌触りながらくどくなくこれはいいカンパチです。
次に勧められたのがヒラメ。下の大葉が透けて見えるほど薄いのに歯応えもうま味もじゅうぶん。つけてくれた縁側もまたうまいこと。
でも、いちばん感激したのがおひたしでした。
小松菜のゆで加減が絶妙でしゃきっとした歯ごたえながら生ではない。しかもその小松菜が見えないほどたっぷりとかけられた鰹節の香りも良し。これで300円ってホントにいいの?と聞きたくなるほどでした。
嬉しくなってビール大生から日本酒へ。
「神亀」純米に合わせて頼んだカンパチのカマ焼きもまずいはずがありません。
で歯止めが効かなくなって「たこメンチ」。
最初から気になってたメニューですが、神亀のような濃厚な純米酒は揚げ物に合う、という屁理屈でついに注文。
これがまたうまい。
中身はタコだけでなく肉が多いくらいですがタコの香りとうま味がしっかり入っていてスペシャリティーがあります。頼んで良かったと心から思いました。
とにかく魚はうまし。
よく考えたら成田は内陸のようでいて銚子とは高速で直結。九十九里浜も意外に近い。しかも輸送技術の進歩が距離を縮めています。
しかしそれだけではないご主人の技と気遣いが魚をうまく食わせてくれてるのでしょう。
板場のご主人の後ろでは、たくさんの若者が宴会料理を作っていましたが、ご主人が彼らに投げかける言葉は常に丁寧語。こうした姿勢がすべての料理に反映され、常に宴会がぎっしり入っていることに繋がるのでしょう。
きれいに整備された参道から左に入り込んだ路地裏の店。もし成田で夜を過ごすことがあったらぜひ行ってみてください。
そうそう、最後に飲んだ「鳳凰美田 桃」は吟醸酒がベースながらまるでジュース!
果肉のつぶつぶまで入ってて危険なお酒でした。これもぜひ一度試してみてください。
「さわらや」(成田・居酒屋)
https://tabelog.com/chiba/A1204/A120401/12002032/