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やんばる(新宿・沖縄料理)

「ちゃんぽん」と聞くと当然、普通はあの太い麺を使った野菜たっぷりの麺「長崎ちゃんぽん」を思い浮かべますが、沖縄で「ちゃんぽん」と言うとそれはご飯もの。

やんばる

皿に盛られた白いごはんの上に、ポーク(ランチョンミート)入りの野菜炒めがどかっと乗せられた驚愕の一品なのです。

やんばる

私も沖縄の“神の島”久高島で遭遇し、初めて食べましたが、最初は名前とその実体の乖離に圧倒され、なんとも不思議な感じで食べたのを覚えています。

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さらに驚いたのは、現地のファミリーマートにも同じ「ちゃんぽん」が売られていたこと。
意外にも沖縄出身者でも知らない人がいたりするのですが、多くは深く深く浸透しているメニュー、それが「沖縄ちゃんぽん」の実態なのです。

やんばる

この店でも平日のランチタイムに限って「ちゃんぽん」が提供されています。ここでの正式な名前は「沖縄ちゃんぽん丼」(650円)。知らずに注文した客にショックを与えないように、あらかじめ別物であることを断っています。

やんばる

新宿における沖縄料理の老舗「やんばる」。
新宿東口、アルタの裏の一角で、私の30年くらい前の記憶にはすでにありましたから、熊本ラーメンの「桂花」や洋食の「アカシア」に次ぐくらい古いのではないでしょうか。

やんばる

ゴーヤチャンプルーやポーク玉子といったいまではおなじみのメニューも、本土で一般的になったのは2001年の朝ドラ「ちゅらさん」以降です。それまでは沖縄料理店は非常に珍しい存在であり、この店は沖縄出身者の心のふるさととして慕われるほかは、「珍しい料理を出す店」として一部の勇気ある人々が訪れる店でした。

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よく、沖縄料理のことを琉球料理と呼ぶ人がいますが、沖縄料理と琉球料理はイコールではありません。琉球王朝の記録では、宮廷料理は焼き魚など日本本土の和食に非常に近いものだったことがわかっています。

それに対し、現在の沖縄料理は敗戦後、米軍の占領統治下において形づくられたもの。米軍の放出品であるランチョンミートを使ったポーク玉子をはじめ、ドーナツの一種であるサータアンダギー、タコスをご飯にかけたタコライスなど多くが米軍の統治下で生まれています。

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「イカスミソーミンチャンプルー」は、イタリア系米軍兵からの伝授でしょうか。これもまた独特でおいしいものです。

しかし一方で、日本や中国、東南アジアを相手に交易で栄えた琉球王国の名残を残すのがクーブイリチーなどの昆布を使った料理。沖縄周辺では昆布は取れません。

琉球王国時代、わざわざ日本本土との交易で手に入れた昆布やかつお節を料理の基礎としたほか、豚肉を食べる文化は中国から取り入れるなど、周辺各国のいいところを取り入れたのが琉球料理なのです。

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「てびちおでん」はその和食と中華のいいとこどり。

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豚足や野菜を昆布だしで煮たおでんです。豚足のうま味もとけだしてなかなかの味わい。

そのほか、この店の料理はまさに「フツーの沖縄」。沖縄の一般の人々が日常的に食べている料理そのままが、何の飾り気もなく出てきます。

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「ソーキそば」は最初880円と高く感じましたが、出てきたものは豚の骨付き肉の塊が3つも乗り、まるでケンタッキーフライドチキンが3つ乗ってきているかのような食べごたえ。
しっかり煮込まれていて軟骨まですべて食べられるのですが、肉質はしっかりとしていて歯ごたえがあります。たぶん圧力鍋で煮込んでいるのでしょう。ボリュームとともに質の面でも食べごたえがあります。

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麺も特別なものではなく、平らな断面をもつ縮れ麺。長崎のちゃんぽんの麺と似た、ぷつん、と切れる独特の歯ごたえを持つ沖縄そば独特の麺です。スープも、とんこつベースの澄んだスープに鰹だしと醤油で味を整えたもの。特別に何かの風味を強調したものではなく、まさに平均的な沖縄そばのスープそのものです。

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そのほか「ゴーヤチャンプルー定食」や「ポーク玉子定食」や「ラフティーそば」などどれをとっても、すべて飾り気のない現地の味そのまま。

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びっくりするほどおいしい、というわけではありませんが、この安心感は何物にも代えがたい、といった味。とくに沖縄出身者にはそう思えるはずです。

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意外に知られていないことですが、ウチナーグチというちょっと聴いただけでは全然わからない沖縄独自の言葉は、言語学的には日本の古語から分岐した日本語のひとつであることが明らかになっています。そして琉球王朝の古文書はすべて「ひらがな」で書かれていますし、沖縄で最も一般的な宗教は日本本土から伝わった禅宗です。

そう、太古の昔からいまに至るまで、沖縄は日本の一部なのです。

普天間問題など、いままだ大きな問題をかかえる沖縄ではありますが、日本列島の欠かせない一部として、しっかり考えて解決されなければなりません。

沖縄料理に舌鼓を打ちながらも、そうしたことをにも思いをはせてみてはいかがでしょうか。

 

 

「やんばる」(新宿・沖縄料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13000885/

みんみん(♂)とっておき!!支配人

福岡県生まれの九州男児。中学高校とブラスバンドに所属し、高校のブラスの先輩がタモリさんというのが数少ない自慢です。メディア関係の企業に就職し、転勤族だったため各地のおいしいお店を探して食べ歩きを始めたのがこのウェブサイトの原点。現在は、映像関係の会社を営んでいます。

店舗情報

店名 やんばる(新宿・沖縄料理)
ジャンル 和食, 郷土料理
TEL 03-3353-2028
住所 新宿区新宿3-22-1
やんばる(新宿・沖縄料理)
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交通手段 新宿駅より徒歩3分
営業時間 11:00~24:00
定休日 無休

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