衝撃の「うにクリームパスタ」です。
活ウニをひと箱全部使っただけあって、味はふくよかでめちゃめちゃおいしい。軽い磯の香りはしますが生臭さはなく、塩うにをクリームで伸ばしたようなものとは次元がまったく違います。
しかしまあ、よくもこんな街はずれの小さな店を探し出してくるものです。「孤独のグルメ」は。
2019年の「孤独のグルメ」大晦日特番で井之頭五郎が訪ねた「活海酒」という海鮮の店。天神など、どの駅からも徒歩15分以上という不便な場所。ただ、天神から向かう国体道路沿いはすっかり様変わりしたくさんの店が建ち並ぶようになってました。かつては天神の西側は不毛の地、さらに西は未開の地といってもよかったのにその変貌ぶりには驚きます。
「活海酒」の店名どおり、魚が主体の店ですが、ご主人はフレンチの出身。
ファミレス化する前、福岡随一の本格洋食の店だった「ロイヤル」を皮切りに長年洋食の道を歩んできたそうですが、ときどきしか来てもらえないフレンチよりももっと常連に来てもらえる店を、ということで現在の店になったとか。
売りは活魚一匹を使った料理。「孤独のグルメ」ではカワハギでしたが今回頼んだのはアナゴ。対馬産の黄金アナゴを半身は刺身、半身は蒲焼きでお願いしました。
生簀から持ってきたアナゴをご主人が見事にさばき、脂の乗った様子を見せてくれます。
先に出てきた刺身は薄い肌色。噛むとコリコリしてうま味が吹き出してくる感じ。ポン酢にもみじおろしと細い青ネギ入れたものをつけるとさらに味の輪郭がはっきりしておいしい。
アナゴにはぬめりなどに毒があるためなかなか刺身では味わえませんが、新鮮でしっかりとした技でさばかれればどんな高級魚にも負けない味だということがわかりました。
蒲焼きも薄味のタレをつけ軽く炙った感じで身のうま味がしっかり感じられます。
そしてサービスとして、さばいたばかりのアナゴの頭と心臓を客席に持ってきて“展示”して、まだ動いているのを見せてくれるのですが、ずっと置いたままにされるのはちょっと…。
しかしこの店のアナゴは必ず食べるべき一品です。
そのほか、300円の突き出しとは絶対に思えない「しんじょ」もおいしく、連れが頼んだ「ポテトグラタン」や「エビマヨ」「地鶏たたきサラダ」も間違いのない味。
酒もけっこう頼んだのでかなりいくと思っていたのですが、勘定は約18,000円。東京だったら25,000円でも足りなかったかもしれませんし、そもそもこのクォリティーのものは食べられなかったことでしょう。
いやまあものすごい店です。
福岡はどこに入ってもハズレのない食の都ではありますが、この店はさらにはるか上を行く店。福岡を訪れるならば必ず行くべき店と断言します。
みなさんもぜひ。
「活海酒」(福岡警固・鮮魚料理/ビストロ)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40003961/