「福岡県民のソウルフード」。
秘密のケンミンショーが捏造するまで、当の福岡県民のほとんどが知らなかったメニューです。
豚のハラミらしき小さな肉とキャベツを大量のニンニクで炒め、熱した鉄板で提供するスタイルの「焼肉」。キャベツが9割以上を占め、野菜炒めとどう違うのかわかりませんが、ここでは「焼肉」と呼ばれてきたのです。
実際には福岡市の南部、JR南福岡駅周辺に存在した、ほぼ個店メニュー。いまでこそケンミンショーを真似て地元テレビ局が紹介するようになり、支店やパクり店が出てきたので増えてはきましたが、福岡市南部の局地的食べものであることには変わりありません。
その元祖という店が最近多店舗化し、福岡市の中心街の隣に進出してきました。
ぴかぴかの店内は壁に面したカウンターとその奥にテーブル席も。
メニューは「焼肉」のみ。量がなぜか「枚」で表示され「1枚」「1.5枚」「ダブル」「トリプル」の4種類、ご飯は大中小で味噌汁つき。
選んだのは「焼肉1.5枚(1,300円)」とご飯中(200円)、ビール中瓶です。待つこと10分ほど。
ジュージュー音を立てて鉄板がやってきました。もうもうと立ち上がる湯気。ニンニクの匂い満載です。山をなすキャベツに点在する肉。さっそくキャベツから食べてみると、辛い。大量のニンニクが揮発性のある辛さで舌を刺激します。
この辛さ、どこかで…と思ったら「孤独のグルメ Season3」第2話に出た「パタン」と同じ。リングイネのような麺に大量の刻みニンニクと醤油だれをかけただけの強烈な辛さ(というか刺激)そのままでした。
そしてひとくちサイズの肉。かたっ。結構な噛みごたえです。
ただ、内臓肉らしく噛めば噛むほどにじみ出てくるうま味。しなしなになったキャベツと硬い肉は一緒に口に含むとなんか異質で、それぞれ別々に食べ進んでいく感じです。
もうひとつ特徴的なのが、卓上にある辛味噌と細長い積み木のような木片。
この木片を鉄板の片方の下にかませ、反対側にたまった油にこの辛味噌を溶いて一種の辣油にします。
これに肉やキャベツをつけて食べるとまた別の辛味とうま味が加わって飽きずに食べられるというわけです。
全体に味が濃く、ご飯も進みビールも、くいくいいけてしまいます。ひとりでゆっくり晩ご飯、というのには最適でしょう。
1.5枚でご飯をつけて1,500円という値段は、肉の硬さからちょっと考えてしまいますが、福岡市南部の局地的B級グルメをぜひ体験してみてください。
「びっくり亭本家 赤坂店」
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40059344/