【豊洲に移転しています】
今年(2015年)、成育不良のために出荷を1か月遅らせていた広島産が11月2日に解禁。ようやく本格的な牡蠣の
シーズンがやってきました。
築地で牡蠣といえば、カキフライに並ぶおいしい食べ方が「牡蠣豆腐」です。
なかでもここ「かとう」の「かきどうふ」は大きめのぷりっぷりの牡蠣が5~6個入り、白菜も豆腐もこれでもかとばかりに詰め込まれていて迫力満点。しかも自家製ポン酢が辛すぎず酸っぱすぎずの柔らかい味で、牡蠣のうま味を邪魔しません。
どんぶり飯と一緒にかき込めば、2食分に匹敵する満足感を得られること間違いなしです。
この店「かとう」があるのは築地場内の魚がし横丁。
ほかにもいろいろおいしい魚料理を出すのに、周囲の店に比べてやや客が少ないなと思っていたら理由がありました。
“No English menu!”
アジア系の若いカップルが暖簾をくぐろうとしたとき、若女将がこう言いました。ふたりはすごすごと退散。
たしかにますます観光地化が激しくなる築地にあって、いちいち英語で説明を求められるわずらわしさったらないでしょう。また、欧米人にはクレジットカードで払おうとする客も多く、さらに何人かで一品を頼んで分け合おうとする客がいるのも、狭い場内で営業する店にとっては死活問題。ですから、そうした客をできるだけ避けたいと考えるのもむべなるかな、です。
逆に言えば我々日本人の客を大切にし、落ち着いてゆったり食べられる環境を作ってくれていると言えるでしょう。
なお、日本語の通訳がつくならどんな外国人もOKなのですから、けっして人種差別などではないのです。まあ、ある意味「米花」とは対極にある店と言えるでしょう。
そのほか、「銀ダラ西京焼」も量は多くないながらもうま味がしっかりと強く、じゅうぶんにご飯の友としての役割を果たしてくれています。
また「黒ムツ煮付」は、魚のうま味をしっかりと吸った豆腐もまたごちそう。焼物も煮物も間違いなしです。
かつてこの店には、ドラえもんに声がそっくりだという大女将がいて、その声にそぐわぬ素っ気なさもまた一部で人気を博していたそうですが、現在の若女将もなかなかにドライ。しかし、数回通ううちに顔を覚えてくれると、その素っ気なさに隠れたやさしさを垣間見ることができます。それがまた嬉しかったりして、さらに通い続けることになってしまいます。
この店のある築地市場は、ちょうど1年後の2016年11月2日をもってその81年にわたる歴史の幕を閉じます。
ですから、この冬はほぼ最後の牡蠣のシーズン。
ぜひこの冬のうちに一度、「かきどうふ」を味わってみてください。
「かとう」(築地場内・海鮮料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131301/13007669/