博多名物の「ごま鯖」は「鯖ごま」、「水炊き」は「若鶏スープ炊き」と独自の名前にこだわるこの店。
「孤独のグルメ」の単発スペシャル「真夏の博多出張編」の舞台となった居酒屋です。
場所は中洲の細い路地。
夜、事前情報なしでは足を踏み入れられないほどの狭さと暗さ。
その闇のなかに灯る「一富」の看板は、漆黒の大海原に光る灯台のようです。
店内は大きなL字形のカウンターの中に厨房があり、その反対側に座敷。本来10人は座れるカウンターは6席に、座敷も3卓から2卓に減らされています。
頼んだのは「鯖ごま」と「鯵納豆」。テレビを見て来たのがバレバレです。
それに黒板メニューの「鯨のうね」。
しかしまず驚いたのが、お通しの「たいらぎのひも」でした。
たいらぎ(平貝)は30cmを超える大きな貝で、普通食べるのは貝柱のみ。しかし九州ではひもの部分も食べるといい、実際に酢の物になったひもはコリコリとした食感と風味も非常にいいものでした。
鯖ごまは普通、胡麻醤油で和えたものが出されるところ刺身醤油が別皿。これがまた新鮮な身の味を活かしていておいしい。
鯵納豆は想像よりも纏う納豆が少なく、ひき割り納豆がまばらに着いてる程度。これが絶妙でした。
さらに驚いたのが鯨のうね。ミンククジラなどのヒゲ鯨のアゴの部分にあるスジの入った部分なのですが、これまでいろんな鯨を食べてきた私ですら驚くうまさ。さすが鯨食文化が根強く残る北部九州だと感動しました。
その後、追加で「若鶏の唐揚げ」や「おきうと(おきゅうと)」なども。
おきうとは海藻で作ったこんにゃくのようなもので、博多では朝食の定番ですが、自家製というこのおきうとは青海苔が練り込まれていて香り高く、前評判通りのものでした。
そして水炊きならぬ「若鶏スープ炊き」。
そのスープは透明感があって意外にあっさりですがしっかりとしたうま味が野菜にしみ込んでいておいしく、いくらでも食べられそうでした。
残ったスープで作ってもらった雑炊も美味。文句なしの水炊きです。
そのほかに頼んだのは「にゃんにゃん」。この謎のメニュー「にゃんにゃん」についてはあえて秘密にしておきます。
ぜひご自身の目と口で味わってみてください。
福岡に行ったら必ず行くべき店です。
「一富」(福岡中洲・居酒屋)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40014859/