東北紀行でいちばんおいしかったのは花巻の居酒屋で出会った「納豆カツ」。
ペースト状になった納豆にツナ、ネギなど混ぜ合わせ、粗めのパン粉をつけて揚げたもの。
つけあわせのトマトと比べれば、その巨大さがわかろうというものです。
東北人の納豆好きはよく知っていましたが、まさかここまで手間かけてカツにしてしまうとは…。どこまで好きなんだか。
この店があるのは岩手県花巻市。
雄大な北上川が流れる、宮沢賢治のふるさとです。
また、東には民話の里として知られる遠野があり、花巻から遠野に向けてSL銀河が走ることでも知られています。
その花巻の繁華街で、古民家の部材をふんだんに使った内外装の店。
ほかにない雰囲気で、ほんわかした気持ちになれます。
まず最初に頼んだ刺身の盛り合わせ。
花巻は内陸なのでどうかな、と思ったのですが、遠野の向こうに釜石があり、いまの輸送技術では85km程度の距離は問題ないのでしょう。
とくにサンマの刺身がおいしく、満足しました。
そしていよいよの納豆カツ。
「醤油とソースで食べ比べてみてください。納豆だから醤油という人と、カツだからソースという人に分かれるんですよ。」と言われて食べ始めましたが、私はまず何もつけずに味わう派。
下味がちゃんとついていてかなりおいしく、これ以上何もいらない感じです。
「醤油とソース、どっちがよかったですか?」
ほとんど食べ終わった頃に店長がまた聞いてくるので渋々食べ比べてみましたが、私の好みは醤油でした。
だってアジフライも醤油、カキフライも醤油じゃなきゃイヤな人なんですから、納豆を揚げてソースだなんて…。
そもそも納豆には醤油か、醤油ベースの出汁じゃないですかねぇ。
と言いたかったのですが、弱気な私は何も言わずニコニコしているだけでした。
この前に飲んでいたこともあり、また納豆カツが巨大だったせいでほかのものは食べられませんでしたが、刺身と納豆カツだけでもこの店の味の良さはよくわかりました。
東北の旅ではぜひ花巻を旅程に入れ、この珍しい巨大納豆カツを食べてみてください。
「早池峰」(岩手花巻・郷土料理/居酒屋)
https://tabelog.com/iwate/A0302/A030201/3003622/