野生の猪、鴨、牡蠣、金目鯛…。
季節メニューとはいえ、そんなのインドにいねーだろ!という食材を使って見事なインド料理に仕立て上げるのですから、この店ハンパじゃありません。
「野生猪の蒸し煮カレー」。
ロシアの壺焼きのようにパン生地で封をされたふたを取ると小さな玉ねぎ・ペコロスにクルミもたくさん。
底のほうから大きめの肉の塊を引き出し、かぶりついてみるとこれが柔らかい!
野生猪ということで硬くて脂ギトギトで筋ばった肉を予想してたのが完全に裏切られ
ます。
味も豚よりも豊かで、スパイスも多層的。しっかりしたインド料理になっていることが驚きでした。
「鴨のタンドール炭火焼き」は、握り拳ほどもある鴨肉の塊。
スパイシーでありながら鴨のうまみがしっかりと味わえます。塊肉ってなにか得した気分になっちゃいます。
「タンドゥーリ・ジンガ」は海老をマサラに漬け込んで焼いたもの。質のよいエビが香ばしく焼かれておいしい。
素材は珍しいものの、スパイスの効いた正統派の料理が続いたなかで、ユニークな味だったのが「カシミール・コフタ」でした。
メニューには「ドライフルーツとカシューナッツなどを詰めた団子のカシミール地方の濃厚なカレー」とあり、真ん中にお団子が浮かび、周囲をオレンジ色のカレーソースが取り巻いています。
食べてみると、辛くない。トマトに由来する甘酸っぱさにクリームのとろみと甘さが加わった感じ。どっかで覚えのある味だな、と思っていたらオーロラソースでした。
そう、マヨネーズとケチャップを混ぜ合わせてできるあの甘美な味のソース。一部で複雑な気分になりながらもおいしく食べることができました。
そのほか、野菜だけで作った「ベジタブル・シーク・カバブ」は、ベースがさつまいもやパイナップル。じんわり焼かれたパイナップルのおいしいことにびっくりです。
表参道の南、骨董通りという名のおしゃれな店が並ぶ一角。小原流会館の地下1階にあり、とてもインド料理とは思えないシックなたたずまいの店です。
親しい人々との小さな集まり、あるいは大切なひととのゆったりしたひとときにいかがでしょうか。
「SITAARA(シターラ)」(表参道・インド料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130602/13009705/