日本全国の立ち食い蕎麦で間違いなく、いちばんカレーがうまい店です。
手羽中が一本ごろんと入ったインドカレーは味も辛さも本格的。立ち食いとはいえこれでひと皿500円とは素晴らしい。
これだけを目当てに来る客が多いというのもうなずけます。
っていうか、看板に堂々と「自家製麺とインドカレーの店 よもだそば」と書いてあったりします。意味不明じゃん…。
以前、無印良品が「自分はなに屋だろう?」と自己分析したら、いちばんのキラーコンテンツ(売れ筋)はレトルトカレーだったと。つまり無印良品はカレー屋だった、というエピソードにも通じる話です。(全然通じてないってば(笑))。
店名の「よもだ」とは、愛媛県松山市周辺(伊予)の言葉で「いいかげん」「悪ふざけ」といった意味だそうで、「なんだか憎めない」イメージを込めてつけたとか。
その“本業”のそばのほうは、自家製麺で化学調味料不使用のこだわりですが、まあ麺は二八とはいかず「頑張ってるね」くらい。
ただ、別の店の中には十割蕎麦を謳いながらも、パスタと同じ押し出し製法の蕎麦が粘土のような食感で全然うまくなかったりしますから、うまくバランスが取れていると言うべきでしょう。
つゆは、東京の立ち食いの攻撃的なまでのしょっぱさがなく、優しい味。東京暮らしが長くなった九州人の私にも最初はやや肩透かしっぽく感じられたりしますが、正しいのはこちら。食べ進むうちにうま味がしっかり感じられます。
今回食べたかったのは「すんきそば」。
「すんき」とは木曽地方だけで昔から作られている赤かぶの葉の漬物のことで、塩を一切使わず、乳酸菌による発酵だけで漬けられたものだとか。
海から遠い山里では塩が貴重品であり、保存食に使う塩も節約を強いられたために生まれたのでしょう。
これまでこの「すんき」という食べ物を知らず、きのう店のホームページで見てすぐに来てみました。
食べてみての感想は、「古くなった野沢菜そのもの」。
それもそのはず、野沢菜の材料もかぶの葉、漬物やキムチがすっぱくなるのは乳酸発酵なのですから。
でも独特の酸味もまたおいしく、天かすが乗った蕎麦との相性もなかなかのものでした。
そのほか、暖かくなると東北の天然の山菜を使った蕎麦を提供したりと、素材にこだわりいろんな味を楽しませてくれるこの店。
東西線日本橋駅近くのほか、銀座の真ん中にも店がありますので、機会があったらぜひふらっと立ち寄ってみてください。
「よもだそば」(日本橋・立ち食い蕎麦)
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13047210/