ある日の「三陸海宝牡蠣」です。
生牡蠣の上にいくらとアワビが載る夢のような一品。
すべて三陸産で1個800円。原価率100%を謳うのも当然でしょう。
この店は、岩手を中心に東北の食材を欧風に仕立て、ワインとともに提供する店。
おととし(2018年)の暮れにできて以来、住宅地にありながら人気となっています。
正直、この店をどう分類するか非常に悩みました。
素材は東北のとくに三陸の海産物が主体ですから、鮮魚料理?
なかでも牡蠣は通年で揃え、様々に提供しますから、オイスターバー?
料理としてはイタリアンの手法が多そうなので、イタリア料理?
でも酒はワインに力を入れていて安いので、ワインバー?
店の自称は「三陸ワイン食堂」だそうです。
この店の名物のひとつ「三陸チョッピーノ」は、いろんな魚介類をトマトベースで仕立てたシチュー。
カリフォルニアのイタリア系漁民の料理が元だそうで、濃厚なうま味が満ちています。夜行ったならこれは絶対に頼むべし。
そしてもちろん三陸と言えば牡蠣。
夏も生牡蠣を常備しており、店の会員になれば毎回メンバーズカード提示で生牡蠣1個無料という大盤振る舞い。
ランチにもあるカキフライや、
ブルゴーニュバター焼きといった焼き牡蠣もあり、様々なスタイルで堪能できます。
さらにホヤも。
その昔、ホヤは仙台にまで行かないと食べられないものでしたが、輸送技術の発達により東京でも見かけるようになりました。ここのホヤは新鮮そのもので臭みもなく、ワインにも合いそうです。
「大船渡産つぶ貝ときのこのアヒージョ」もまた美味でした。
これでもかとばかりに三陸の海の幸を堪能できます。
このほか、東北産の野菜を使った料理も、素朴ながらみなおいしい。
ケラッセとは、岩手の言葉で「いらっしゃい」という意味。
もともとは岩手県の住田町にある旧家を再生した町おこし施設に入居した地産地消レストランだったのですが、そこで評判となり、勢いを駆って東京にも進出したというわけです。
開店から1年半がたち、気取らず、おいしいものが食べられる店として地域の人々に親しまれています。
この店はランチもなかなかお得。
以前、ランチは統計局などの近隣に勤めるおばさまがたに占拠されていて、12時から13時の間は予約しないと入れないほどでした。
ランチは、サラダバー付き。
当初はサラダバーが別料金で、サラダバーを抜くと1,000円以内に収まる料金設定だったのですが、いつのまにかサラダバーが込みになったうえで1,000円以内に収まるという事実上の値下げがあり、さらにコストパフォーマンスが上昇。
基本的に定食スタイルとパスタなのですが、東北の旬の素材を取り入れてのメニューも多く、「鶏と行者にんにくのインドカレー」なんてメニューも。
定食の場合は、肉と魚が一品ずつつくことも多く、いろいろな味が楽しめてお得感があります。
サラダバーとともにつく味噌汁は、魚のあらがたっぷり。
ごはんの量が少なく、おかわりが有料でけっこう高い(150円)というのが玉に瑕ですが、それでも満足感に変わりはありません。
和洋の枠にとらわれず、東北のおいしいものを食べてもらいたいという気持ちが伝わる小さなお店。
若松河田という、新宿の目と鼻の先にありながら地味な住宅街のなかにありますが、昼も夜も、それぞれ素晴らしい料理を楽しませてくれますので、ぜひ一度訪れてみてください。
「ケラッセ東京」(若松河田・イタリア料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13227622/