ここの「鶏の白レバー刺し」(690円)が、びっくりするほどおいしかった。
刺し、といっても最近はやりの低温調理(真空調理)をほどこしたもので、40℃~60℃といった温度で長時間加熱することで素材の生の食感を残し、また加熱によって生じるうま味も閉じ込め、なおかつ菌は確実に殺して安全に食べられる、というもの。ねっとりとした食感と、じわーっと広がる奥深いうま味が悦びと変わっていきます。添えられたシナモン醤油もまた甘めで絶妙。
オーナーらしき男性に聞くと、もともと東銀座で焼鳥屋をやっており、そこで手に入る最高の白レバーを使っているとのこと。やはりルートがあって素材があり、技があって素材が生きるのだとあらためて感じました。
一方、飲み物では「かめじまハイボール」(550円)が相当においしい。
サントリー角をベースに、山崎蒸留所の「焙煎樽熟成梅酒」を少し加えてソーダで割ったもの。
浮かべてあるレモンにはクローブが2本、釘のように突き刺してあって素敵な香りを放っています。山崎の梅酒がほのかな甘みと香りをつけて、角のややとげとげしい舌触りをうまく消してくれています。これは必ず飲むべきです。
これまで茅場町で飲む、と言えば「ニューカヤバ」一本でしたが、そこはオヤジの店。女性を交えてわいわい楽しむにはいいのですが、女性と一対一でゆっくりと飲む、といった目的には合いませんでした。
そのニューカヤバに行く途中で見つけたのがここ、「かめじま商店」。
かめじまとは人の名前かと思ったのですが、すぐ近くの新川(霊岸島)との間にかかる亀島橋からとられていました。
店内はステンレスと木をあしらった明るい内装。ロの字型のキッチンが真ん中にあって、手前が立ち呑み用のカウンター、奥が学校の学習机の椅子もどきが並んだカウンターとなっていて、その奥にテーブル席が1列に並んでいます。
そのほか食べ物として、「渋谷チーズスタンドのモッツァレラ」(690円)は、渋谷のNHK西口の前にある製造製造所兼レストランからのもの。ここはいま、飲食店向けの卸をやっているとのことで、ここから仕入たモッツァレラはふわふわでみずみずしい、しっとりしたマシュマロのようなチーズでした。
そしてもうひとつおいしかったのは「マッシュルームのブルーチーズ焼き」(590円)。小さな鉄器のなかにマッシュルームを5つ並べて刻んだベーコンを散らし、たっぷりの油で焼いてブルーチーズを融かす。
たったこれだけなのに、絶妙のうまさ。鼻を突く特有の臭さもなんのその、あまりのうまさに息をつく間もないほど次々と食べてしまいました。
前回はふたりでの三次会、今回はひとりでということであまりたくさんのものを食べることができませんでしたが、このほかにも「すっぽん&フィッシュ&チップス」(2,390円)や「甘エビの出汁カレー」(980円)、「すっぽんのラーメン(980円)」など好奇心をそそるメニューが盛りだくさん。
またぜひ訪れて、いろいろ食べてみたくなる、そんな店でした。
そうそう、初回はラストオーダーの間際に行ったのですが、女性スタッフが大きなチーズの塊の断面をいとおしむように拭き、丁寧にガーゼで包む様子が印象的でした。
モノを大切に扱う店に、まずい店はないのかもしれません。
「かめじま商店」(茅場町・ビストロ)
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130203/13219234/