この日の日替わりカレーの「マトンキーマと茄子」がびっくりするほどおしかった。
茄子がただトッピングされてるだけかと思ってたら、茄子のうま味と香りが全体に行き渡っていて、羊肉の風味ときれいなマッチングを見せてくれています。さすが老舗です。
また、ダールカリーは粘度が高めで味わいもまったり。これもまた私の好みです。
いまは代々木にあるこの店、もとは西新宿にありました。1973年創業。
新宿で最も古く、都内でも五本の指に入る歴史あるインド料理店であり、最盛期にはラフォーレ原宿などにも出店、計6店舗を運営していたそうです。
しかし店の経営権が譲渡され、2018年4月末で店は閉店することに。
赤字経営だったからではなく、新たに経営を引き継いだ「塚田農場」などを運営する会社が、和食の店に業態転換することを決めたため。
長年働いてきたスタッフにとっては到底納得できるものではありません。
スタッフが「新宿ボンベイは閉店します」という名のTwitterアカウントを開設して内幕を暴露。世論を味方にし完全閉店を撤回させ、2019年6月に移転という形で復活することができたのです。
1年2か月というブランクがあったとはいえ、閉店撤回に持ち込めたのは、それだけこの店を愛する人々が多かったということでしょう。めでたしめでたしです。
一方、もとの「新宿ボンベイ」の跡地にできた店はというと、しょーもない立ち食い寿司の店。
どう見ても流行ってなさそうで、こんなセンスだから塚田農場は急速に落ち目になるんだよ、と悪態をつきたくなってしまいます。
そして代々木に移転してオープンしたこの店は、雰囲気は新宿時代そのままですが、夜はスパイス料理を楽しみながらワイングラスを傾けるような店を目指しているようです。
ランチで頼んだのは、1,600円のプレミアムランチセット(A)でした。
選べるカレー2種類にナンとライスと本日のタンドールがつく豪華セット。
本日のタンドールのチキンはしっとりとしてて、よくあるパサパサのレンガ色のタンドリーチキンでなかったことに好感がもてました。
21世紀のいま、もはやインド料理の店は珍しくなくなってしまいました。
しかし実は半分ぐらいはネパール人の経営。首を傾げるような味の店があるのもたしかです。
そうしたなか、インド人のベテラン調理人がしっかりと窯を守るこの店の安心感に満ちた味は、ずっとずっと続いていってほしいものです。
「新宿ボンベイ」(代々木・インド料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130403/13235835/