たれをかけた瞬間、ジューッという音とともに立ち上る湯けむり。
鉄板料理というのはこうでなくちゃいけません。
新宿・末広亭の隣にある「ビフテキ家・あづま」。
ビフテキという名前が夢の代名詞だった時代は昭和50年頃まで。
昭和21年創業のこの店は、まさに戦後の人々の夢憧れとともに歩んできたといえます。
ただ世の中が豊かになり、米豪産ならばステーキが500円で買える時代。
夢が身近になりすぎたでしょうか。
名物、「じゅうじゅう焼き」はシンプルそのもの。
どこからかき集めてきたんだというほど芯だらけのキャベツを鉄板に山盛りにし、その上に焼いただけの肉が乗って出てきます。
客は、ほぼポン酢そのものであるたれをかけ食すだけという、ほとんど料理と呼べるのかどうかのメニューにも関わらず、注文から提供まで20分もかかるのも謎。
しかし、これこそ昭和の人々が憧れたまさに「洋食」なのです。
味もまた、表現のしようがないほどシンプル。
焼かれて甘くなったキャベツ、牛肉にも交換可能な豚肉は予想よりも柔らかめ、たれはやや酸っぱすぎといった個々のパーツへの感想に終始してしまいますが。
事前の情報で「全席喫煙可」とあり、煙もうもうのなかで食べなきゃいけないのかと懸念したのですが、1階と地階で一応の分煙がなされているようで安心しました。
もう一度行って、オムライスやハンバーグ、さらにはジャンバラヤなどの絶滅危惧種を食べてみたいと思わせる店でした。
「ビフテキ家あづま」(新宿三丁目・洋食)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13012037/