やっぱり、店は外見だけで判断してはいけません。
この店の中で食べるのは初めてだったのですが、しっかりした味は期待を上回るものでした。
頼んだのは「もやしそば」(700円)。
もやしを中心とした野菜炒めが乗ったいわゆる支那そばですがピーマン、とくに赤いピーマンが混ざっているところがユニーク。
とろみがついた野菜は丼を覆い尽くし、その下にはよくゆでられた縮れの緩い細麺が多めに横たわっています。
スープは鶏ガラベースの醤油味という街中華の王道をいくもののようですが、野菜炒めの塩胡椒味が混ざってタンメンのよう。でもこれはこれでなかなかおいしいのです。
この店があるのは西早稲田。
早稲田大学の西口を出て交差点を渡ってすぐの場所にある古ぼけた店。
学生時代にもあったはずなのですが記憶にないから入ったことはないのでしょう。
じゃあなぜ「中で食べるのは初めてだったのですが」なのでしょうか。
実はこの店の「ちまき」が絶品で、これまでたびたびテイクアウトしてきたから。
月に1回だけ作るちまきは、毎回予約が殺到するほどの名物。老夫婦は、この月1回のちまき作りの日だけ朝から晩までちまきだけを作り続けるのです。たぶん、ちまきがなかったらとうの昔に店を畳んでいるんじゃないかと思えるほど、普段との人気の落差が大きいのです。
そのちまき。
子どもの手のひらくらいの大きさで、竹の皮を履いでいくと現れるのは褐色の塊。
みっしりと詰まったもちもちしたお米の中からは、うずらの卵にしいたけにチャーシュー、それに栗も。どれも大きくゴロゴロしています。
味も濃くておいしい。
このちまきを作るのは毎月25日前後。以前、近くに住んでいたときには頃合いを見計らって立ち寄っては予約していたものです。
今回はたまたま近くに用事があり、終わったのが16:30。
そのあと22:00ごろまで別の用事で食事が取れそうになかったため「じゃあラーメンでも」と入ってみましたが、予想を上回るおいしさでした。
ちまきのほうは残念ながら今月分はもう予約でいっぱいとのこと。来月を狙おうと思います。
たかがちまきのためにわざわざ西早稲田まで、と思うでしょうが、食べてみればわかります。機会があればぜひ予約して食べてみてください。
「宝美楼」
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13061811/