ア・レですア・レ。
「孤独のグルメ Season8」第2話で井之頭五郎が頭を悩ませ、原作者の久住昌之さんが食べるかどうか悩んだ謎のメニュー「ア・レ」。
もとは常連さんのリクエストででき、それを見た周囲の客が「あれなに?あれちょうだい!」と言ったことでその名がついたとか。
牛ヒレ肉を焼き、デミグラスソースをかけてチーズを乗せ、陶板ごとストーブに入れて煮込んだ一品です。
ヒレ肉は柔らかく、断面はほんのり赤いという絶妙な火の通りぐあい。
そしてデミグラスソースのおいしいこと。ワインがたっぷりと入っていて、コクとかすかな渋味。しかしニッポンの洋食の範疇を超えることのない由緒正しい味。
肉を小さく切ってはデミグラスソースとチーズをからめて食べるとまさに至福のひとときです。
ところで、「ア・レ」を注文して最初に並べられたカトラリーがスプーン2本にナイフとフォーク。
あれ?
スープとサラダが来るので1本目のスプーンの使いみちはわかるのですが、もう1本のスプーンは何に使うの?と不思議に思っていました。
それがこのデミグラスソース用でした。
つまり余ったデミグラスソースをすくって飲め、と。
そしてデミグラスソースをおかずに食べるご飯のまたおいしいこと。ニッポンの洋食ならではの楽しみと言えるでしょう。
今回、13時ちょっとすぎに行ったのですが少し空席あり。並ぶと聞いていたものの、やはりコロナ第3波の影響でしょうか。
中央に相席用の大きなテーブルがあるのですが、満席だったので「カウンターにどうぞ」と。
なんと番組で井之頭五郎が座った席。
「ここ、VIP席かと思いきや、惑わされまくる拷問席だ」と言っていたとおり、次々と出てくる料理に目移りしてしまい困りました。
セットの「チャーチャースープ」はミネストローネっぽいスープですがトマトの味はあまり強くなく、ゆで卵の黄身が溶けて甘く、やや薄味。
大きなじゃがいもがゴロンと入り、溶け残ったゆで卵の白身がぽろっと浮いてきます。
サラダ自体は普通のミニサイズですが、ドレッシングがすりおろしたニンジンがベースで爽やか。井之頭五郎が言うように単体で売ってくれるなら買っちゃいます。
彼のように2人前3人前を平気でペロっと平らげられる強靭な胃を持ってればいいのでしょうが、今回は「ア・レ」ひとつで満腹。
「ミートパトラ」や「タンステーキ」は次回のお楽しみとなりました。
しかし店内は広々として明るく、お年を召したオーナー夫妻を含めてスタッフも快活。いい雰囲気のお店でした。
井の頭線高井戸駅から歩いて10分ほどと決して便利な場所ではありませんが、みなさんもぜひ訪れてみてください。
「EAT」(高井戸・洋食)
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131806/13000722/