どうせ眺めの料金も入ってるから、味はそんなに期待しないでおこうかな…。
そう思った私がバカでした。
東武鉄道グループが社運を賭けて造り上げた東京スカイツリー。展望台レストランは東武ホテルが運営を任されるということで、まさに総力を挙げたのでしょう、想像を超える素晴らしい料理でした。
料理は2012年5月現在、昼が4,200円と6,300円の2コース、夜が12,600円と15,750円の2コースと18,900円の鉄板焼きのコースのみ。それに昼だけお子様プレートが用意されています。
私が注文したのは昼の6,300円の「雅」というコース。4,200円の「粋」が肉・魚・野菜の三種のメインから一品を選ぶのに対して、「雅」では魚と肉が両方固定されています。料理そのものはそれ以外まったく同じですから、お腹の具合と野菜料理への興味で選んでいいと思います。
前菜は、お重の小品と、小皿に乗った鰹のたたき。
稲わらを焼いて軽くスモークした鰹のたたきはとてもいい香りがついていてとてもおいしく、カボスの酸味と相まって量は少ないながらかなり印象的でした。
魚料理は「手長海老と鱸の包み蒸し 酢橘が香る浅利ソース」。
手長海老の身をほうれん草で巻き、ペースト状にしたスズキの身をその外側に包んで蒸し上げたもの。
ふだん私たちが接するスズキのイメージとはまったく違うふんわりとした身からは濃厚なうま味が引きだされていて驚きました。黄色いソースはアサリをベースにしたもので少々こってりとしたうま味。スダチの香りがもう少し立ってもいいかなという感じでしたが、見た目にも舌にもうれしい一品でした。
肉料理の「軽く燻製をかけた鴨胸肉のロースト黒いダイヤのソース」は、鴨肉の質の良さと燻製の加減がよく、鴨特有の血のえぐ味は感じられず。これもまた満足感の非常に高い一品でした。
デザートの「ココナッツ風味のブランマンジェ」は一面の”泡”のなかに、ラズベリーやマンゴーなど様々なフルーツが隠れています。下に敷かれたソースにはパッションフルーツが使われていましたが、東京産へのこだわりをちりばめる、と表現されていましたから、これは小笠原諸島のパッションフルーツだったのでしょうか。これもまた楽しい一品でした。
たしかに眼下の素晴らしい眺めというバイアスがかかっているとはいえ、これで6,300円ならば大満足。また行きたいと思わせるに十分なコースでした。
なお、子ども向けに用意されたプレートですが、これも味見してみるとなかなかのもの。
メインがハンバーグという”王道”は守ってるものの、リゾットにブルーチーズが使われていたり、サラダにチコリが入っていたり、ポテトが手作りだったりと随所にこだわりとプライドが感じられるもの。普通のお子様ランチじゃないし、ファミレスに浸った子どもに食べられるかな?と言いたげなプレートだと解釈しました。
ハンバーグは手作り感たっぷりの家庭的なもので、食べた瞬間に顔がほころぶようなおいしさでしたが。
毎日、一か月前からの予約で満席が続くなか、スタッフもみな礼儀正しく親切でとても気持ちよく過ごせます。
現在は混雑を見越し、あえて昼夜それぞれ2コースに絞っていますが、それが材料も絞ることになってかえってコストをかけられる方向になっている感じ。
また機会があれば夜のコースも食べてみたいと思いました。それほど予想を裏切るおいしさです。
飲み物が高く、サービス料も別。そもそも展望台の入場料も別ということで、全体の値段は張りますが、それでもなお行ってみる価値はあり、です。
そうそう、実はこのレストランはお手洗いもユニーク。しかもそのユニークさを体験できるのは男性だけ。
350mの高さからの “爽快感” をぜひ一度、体験してみてください。
「スカイレストラン634」(スカイツリー・フランス料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131203/13140923/