新宿・思い出横丁で食べる『牡蠣の西京味噌バター焼き』は、築地そのままの激ウマでした。
むかしはあたりかまわず立小便をするヤツがいたために『しょんべん横丁』と呼ばれていた、新宿西口の『思い出横丁』。
時が止まったかのような廃墟寸前のそのボロさ加減にかつては通る人も少なかったのですが、いまやすっかり観光地化してしまい、通るのは外国人観光客だらけになってしまいました。
その一角に去年オープンしたのがこの「築地三代」。その名の通り、築地からやってきたオイスターバーです。
まあ、オイスターバーという言葉からイメージする店とはかなり違う、やっぱり思い出横丁のお店なのですが、牡蠣の品質がよそとは違います。
看板に書いてある通り、この店を経営するのは牡蠣専門の仲卸。もともと築地場外市場の一部である共栄会ビルの1階と地下で直営のオイスターバーをやっていて、築地マニアには知られた店でした。
それが月島での支店開設に続いて、4店舗目としてここ新宿の思い出横丁にやってきたのです。
オイスターバーで楽しいのは、産地ごとの味の違いを楽しめること。
「2産地食べ比べセット」(950円)を頼みます。
この日用意されていたのは北海道の厚岸(あっけし)、昆布森、宮城県の気仙沼、浜市の4つの産地のもの。
選んだのは厚岸と浜市のもの。左が浜市で右が厚岸。見た目からしてずいぶん違うものです。
駅弁の『かきめし』で知られる厚岸の牡蠣は、生で食べてみるとクリーミー。とろーんと口の中でとろけるかのよう。しかし味はしつこくなく、さっぱりした感じ。
一方、宮城県の浜市の牡蠣は貝柱が大きく、まず食べ応えあり。うま味も濃厚です。
普通のオイスターバーでも食べ比べはあるものの、ここまで味が違うと食べ比べも楽しいものです。
ラタトゥイユ風の突き出しも牡蠣の味でおいしい。
この日は、飲み会までの時間があったのでつい入ってみた、という形だったので、そんなにゆっくりいくつも食べるわけにもいきません。そこで築地の店で食べて感激した一品を最後にすることにしました。
それが「西京みそバター焼き」(550円)。
これがもう、絶妙な味で。甘めの味噌もバターも主張しすぎることはなく、ただただ牡蠣のうま味の引き立て役に回っていて、牡蠣の喉の奥を刺すようなえぐ味や苦い臭みを和らげてうま味だけを強調しています。これは食べるべき逸品です。
これまで焼鳥か定食か中華かといった似たような店が固まっていた思い出横丁に、牡蠣という新たなジャンルを持ち込んだこの店。築地から豊洲に本拠は変わってしまいましたが、築地伝統のそのうまさを、新宿にも広げるべく頑張ってもらいたいものです。
みなさんも一度はぜひ。
「築地三代」(新宿西口・オイスターバー)
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