開店しては次々と消えるラーメン激戦区・高田馬場にあって、もう6年も人気を維持しているという鶏白湯の店です。
場所は、早稲田通りと明治通りが交差する馬場口の交差点のすぐ近く。ここにはかつて、テレビ番組と日清食品がタイアップした店がありました。一時は行列ができる店だったのですが、作られたブームは短命に終わりました。
そのあとにほぼ居抜きで入ってきたこの店の「鶏白湯麺塩そば」(880円)は、水炊きを思わせるとろっとろの白濁スープに、ちゃんぽんのような太い麺。とくに、もちもち・プルプルした太麺はすごく印象的。すするというよりひたすら噛む感じで、口の中でぷるんぷるんと踊る感じが楽しい。塩加減が薄く、ラーメンとしては異色ではありますが、一品としての完成度は非常に高く、おいしくまとめられています。
具は一般的なチャーシューのようなものはなく、肉らしきものは蒸した鶏肉のかけらのみ。徹底して鶏にこだわった一品です。しかしそれでも不満はないから不思議です。
ただ、スープはとろっとろすぎて途中で辟易してくるので、レモンが添えられています。レモンの酸味でとろっとろを少し軽減して軽くし、最後まで食べさせようという作戦。たしかに効果があります。
標準で、レンゲにこんもりと盛られたご飯がつきますので、最後にこれをスープに投入。水炊きのおじやよろしく、スープのうま味を残らず味わってほしいとの心配りです。
店内はコの字型のカウンターに12席。先に食券を買うシステムで、外に並ぶ場合も食券が先。回転を速めるためと、順番をめぐるトラブル回避のためでしょう。
もうひとつ、「担々麺」(880円)も食べてみました。
鶏白湯麺塩そばでもそうでしたが、麺の上にサニーレタスが結構な量乗っているスタイル。これを「サラダ」と呼んでいるようで、自販機には「サラダ増量」(300円)というボタンがあったりします。
こうしたところが女性客の多さにつながっているのでしょう。
肉味噌はヘーゼルナッツ入りのちょっと独特なもの。正直言ってヘーゼルナッツは邪魔な気がしますが、肉味噌全体の味のバランスは悪くありません。個人的にはもうちょっと濃いというかくどい味でもいいかなと思いますがまあ好みでしょう。
スープはやはり鶏白湯がベースとなっていて、単体ほどのくどさはありませんが芝麻醤(ゴマペースト)もあることだし、ベースのスープはもう少しあっさりしている方がいい気がします。辛さはほどほど。まあこの店で鶏白湯麺塩そばを差し置いてまで食べなければならないメニューという感じはしませんでした。
そのほか、サイドメニュー(トッピング)として「豚バラ肉軟骨煮」(300円)を頼んでみたのですが、これがおいしい。
まあ沖縄料理のソーキそのものなのですが、ちょうどいい味の濃さがビールに合いそうです。
また、「水餃子」(300円)も頼んでみましたが、これは皮が独特。
もちもちっとしてぷるんっとして、まさに白玉団子をそのまま皮にした感じ。不思議な感触でした。
とにかく、鶏白湯スープのとろっとろさ加減と、ぷりっぷりの太麺の組み合わせが傑出したこの店。
駅から遠く、やや不便な場所にはなりますが、ラーメン激戦区で勝ち抜き続けるその実力をぜひ堪能してみてください。
「蔭山」(高田馬場・ラーメン)
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