ずっと昔からその存在を知っていた大衆食堂ですが、意外に値段が高いので敬遠していました。
新宿というよりも大久保に近い立地で、定食の多くが900円以上。周辺の客層を考えてもちょっと高い気がしていたのです。
しかし最近この小滝橋通り周辺を徘徊するようになり、やっぱり気になって入ってみると、ちょっと高い理由がわかりました。
まず量が多いのです。ご飯ではなく、おかずが。
たとえば「サバ味噌煮定食」は、普通なら半身の2分の1のところ、ひとつは大きめ、さらに小さいながらももうひとつサバのしっぽに近い部分がついてきました。
サバと一緒に煮た大根なども大きくて、さらに小鉢がふたつ。
このほか店の片隅に別の小鉢コーナーがあって、ひとり3つまで自由。ひとつひとつは小さいとはいえ、これだけあればご飯があまるなんてことはありません。
なお、オプションの豚汁(小)は定食にプラス200円で通常の味噌汁と交換可能。大きな大根をはじめ野菜がごろごろ入ってます。コーンにキャベツが入ってる豚汁というのは初めてですが、これだけ具だくさんは嬉しくなります。
そしてあらためて客層を見てわかったのですが、価格を多少高く設定することで、店が客を選んでいたのです。ご覧の通り、店内はいかにも大衆食堂の風情ですが、しかし昼間から飲んだくれているような肉体労働者風のオヤジは皆無。ほとんどが周辺に勤めるサラリーマンといった感じで秩序があります。
別の日に食べた日替わりBランチの「銀ダラ煮定食」(930円)+豚汁。
煮つけはやや塩辛めの関東風。銀ダラはもうちょっと甘めにとろっと煮てほしい気がしますが、これはこれであっさりとしていて悪くはありません。なにより、タケノコや大根など、まるで田舎煮定食でも間違って来てしまったのではないかと思うほど、野菜がいっぱいでまるで母親の手料理のようで懐かしくなってしまいました。
ちょこっとだけ添えられた豚の生姜焼きとケチャップまみれのスパゲッティもまた、箸休め的にいい味出しています。
壁一面の数えきれないほどのメニューのほかに、日替わりも3種類用意されていて安いのは720円とお手頃なものも。
平均単価を高くしながらも、日常的に来られるような価格設定もして常連の心はつかむという絶妙なコントロールが客層を一定以上に保っているようです。
量と質からすれば、やや高い相場も納得のいいお店でした。
「さつき」(新宿・大衆食堂)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13012212/