【豊洲に移転しています】
左が、印度カレー。右がハヤシ。
盛り付けの美しさに思わす声が出る「合がけ」です。
築地でカレーと言えばまず名前が挙がるのがここ「中栄(なかえい)」。
場内の魚がし横丁でも、寿司や鮮魚の店がひしめく6号館や8号館ではなく、ちょっと離れた1号館。牛丼の「吉野家」1号店をはじめ、「茂助だんご」や「木村屋」などリーズナブルな店が多く並ぶ、いわば庶民のオアシス的なエリアです。
この店の特徴はなんと言っても店長。
誰に対してもきさくでいつもにこやか。たぶんこの店の常連はカレーが食べたいのではなく、店長と話がしたくて来ているに違いない、と思わせるほどです。
その店長、昔はラグビーをやっていたそうで、先日のワールドカップからずっと客と語り合っています。
「私たちラグビーをやっていた人間にしてみれば、サッカーでわざと痛がったりしてアピールするじゃないですか。あれが好きになれないんですよねぇ。」
店長がこう語ると、常連らしき客が相槌を打ちながら
「そうそう。サッカーってなんかちゃらちゃらしていやらしいじゃないですか。好きじゃないですよね。」
見ると、その常連客はロン毛…。
しかも後ろで束ね、お団子にしています。 おいおい。
さて肝腎のカレーですが、印度カレーは肉や野菜がとろっとろに煮込まれた「結果的にキーマ風」といった感じ。印度、というにはそんなに辛くはありません。
プラス100円で「大辛」にできますが、単に唐辛子を加えたような感じでぴりぴりと辛くなるものの全体のバランスを崩してしまう感じ。あえてここは通常の辛さで食べることをお勧めします。
一方、ハヤシは酸味が抑えられたコクのある味。カレーに近く、あいがけでも違和感はありません。まずはこの店に来たら「合がけ」を頼むべきでしょう。
そして、この店のもうひとつの名物が「炙りチャーシューカレー」。
自家製のチャーシュー(煮豚)を軽くあぶってカレーに添えたもので、カツカレーがないこの店での上級グレード。バラが3枚、ロース2枚の5枚も添えられボリューム満点です。味もやたら自己主張するのでなく、やや控えめにカレーを引き立てています。
印度カレーやハヤシライスだとひと皿550円。炙りチャーシューカレーでも900円と良心価格。朝は市場で働く人々、昼はそれに加えて周辺の会社に勤めるサラリーマンでごった返します。
場内食堂本来の、安くおいしく腹を満たすという基本を頑なに守り続ける姿はいとおしくさえ感じます。
一度は行ってみてください。
「中栄」(築地場内・カレー)
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131301/13002332/