都会のオアシス、という表現はあながち間違っていません。
漫画「孤独のグルメ」の舞台となった池袋の西武百貨店の屋上。
ここは売場面積が8万㎡もあり、かつて日本一の大きさを誇った巨艦店です。
緊急事態宣言が延長されたものの、百貨店については休業要請が緩和され平日は全館通常営業となったため、ようやく来ることができました。
昔、デパート屋上といえば遊具が置かれ、仮面ライダーなどのショーが開かれたりして子どものものでした。
しかし日本が高齢化社会となり、また百貨店自身がファミリー層を相手にしなくなったことで、屋上の姿は変わってしまいました。いま、昔のデパート屋上の姿を残すのは蒲田の東急プラザの屋上くらい。寂しいものです。
さて「孤独のグルメ」で井之頭五郎が食べたのは「かるかや」のうどん。デパート屋上なので立ち食いのレベルかと思いきや、手打ちの讃岐とか。
いったいどんな味なんだろう…と思い屋上に降り立ったら、ズラーっと並ぶ店、店、店…。
漫画に描かれた場末感、エアポケット感はなく、フォーだの小籠包だのお洒落なメニューが並んでいます。
なかにはホテルオークラの店も。最近、渋谷西武にもややリーズナブルな中華の店を出すなど、オークラは活路を外に求めているようです。
あれ?でも目指す「かるかや」がない。50m以上も並ぶ店を端から端まで見てもない。まさか撤退…。
と、大きな屋根がかかったテーブル席の向こうに目をやるとありました。
反対側にひとつだけポツンと。
基本メニューは井之頭五郎のときから変わっていない様子。
彼が食べたのは「おろしうどん」で、大根おろしと生卵が一緒に乗る珍しいものですが、麺に生卵という組み合わせは苦手なのでパス。
店名を冠した「かるかやうどん」にしました。具は鰹節と油揚げと蒲鉾。意外に質素です。
麺はたしかに手打ちらしく、手切りの幅が不ぞろいでややねっとりとした食感。だしはそんなに特徴はないのですが、そこそこおいしい。
これで550円ですが、青空のもと座って食べられ、時間も気にしなくていいのならじゅうぶんにお得と言えるでしょう。
なお、うどん一杯では足りそうになかったので、別の店で焼肉を。
佐賀のB級グルメ「シシリアンライス」を専門としている店のようですがややいい加減なコピー感が漂います。
まあでも牛バラの焼肉だけですからよしとして食べると、甘めのタレがなかなかおいしい。
ビールがあったらなぁ、と思いました。
暑くもなく寒くもないこの時期、デパートの屋上で過ごすひとときはほっと心を和ませてくれます。
誰にも縛られることなく、青空のもとでゆったりと過ごすという贅沢を味わってみてはいかがでしょうか。
「かるかや」(池袋・うどん)
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13003897/