鯨の苦手なところは血の匂い。
そう思ってる人は多いでしょうが、そう思う人にこそ食べてほしい驚きの一品です。
「イワシ鯨ステーキ膳」(1,000円)。
イワシ鯨というのは鯨の種のひとつ。ステーキというより焼肉風ですが、肉の一枚一枚が一辺10cmはあろうかと大きく、枚数も多い。下に玉ねぎが敷かれているとはいえ、山を成すその量は他の店では見ることができません。
そして味。
血の匂い、味がまったくせず、うま味だけ。ワインの香りがするソースがまた絶妙に合っているのです。
これで1,000円でいいのか…。
本当にそうつぶやくほどのおいしさなのです。驚きました。
調べると、この店では鯨肉の塊を80℃くらいの油にひたし、上からその油をかけながら1時間ほど加熱しているとのこと。いわゆるコンフィの手法で手間隙かけて火を通すことが味の秘密のようです。
この店の場所は、霞が関の農林水産省。一区画を占有するこの巨大な役所の北別館の食堂は、昼間は外部の人間でも利用可。
北玄関を入ると目の前に蕎麦屋がありますが、この前で右に曲がり、ゲートの前で左に折れると目的の店です。
店内はよくある社員食堂風。定食類を注文するカウンターの左にアラカルトの小皿が並ぶガラスのショーケース。選んだらレジでお会計するカフェテリア方式です。
農水省の中だけあって素材にこだわりがあって、野菜は旬のものを中心に、国策に応えて鯨料理にも力を入れているとのこと。
首相官邸に詰める政治部の友人によれば、農水省は官庁のなかではおいしくて、宮内庁と文科省が最悪の双璧だとか。
宮内庁は私も一時期入れたので、評判の御料牧場の牛乳をよく買ってたのですが、食堂に入ることはありませんでした。
当時、最悪のまずさだと知ってれば怖いもの見たさで一度行っておけばよかった…。
さて、追加したサイドメニューの「鯨の竜田揚げ」。
これも下味の処理がいいのか血の匂いがありません。コクがあっておいしい。ただ、380円という値段は量からすると微妙な気もしますが、鯨肉が高いので仕方ないのでしょう。
もちろん鯨以外にもビーフシチューをはじめ様々な肉や魚の料理があり、
どれもおいしそう。
しかし鯨の新しい味覚体験をぜひみなさんにもしてほしいと思います。
霞が関の官庁街に行くことがあればぜひ。
「手しごとや 咲くら」(霞ケ関・食堂)
https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130802/13046764/