たしかに懐かしい、現地の味でした。
チャーゾーという名の、揚げ春巻き。
黄土色の衣のザクザクっとした歯触り。スパイスが効いたちょっと不思議な肉の味。そして練り込まれた春雨のちゅるんとした食感。
これがもうおいしいのなんの。
私がベトナムにハマり、5年連続で長期休暇を潰して旅していたあのころ。
宿のスタッフの18歳の女の子と普通に仲良くしていたら結婚させられそうになり、年の差婚の誘惑に目が眩んだあのころ。
記憶そのままの味に、涙がちょちょぎれそうです。
この店は、ベトナム大使館からの要請で2002年にオープンしたという店。
恵比寿駅の西側、ちょっと坂を登ったあたりにあります。
店内はフランス植民地時代の残り香を感じさせるレトロで退廃的な雰囲気。
ランチタイムでメニューが少ないなか、揚げ春巻に続いて選んだのは冬限定の「ダナン名物ミークアン風、えびと豚肉の和え麺」でした。
南北に長いベトナムは、各地に独自の麺があり、それが旅する楽しみでもあるのですが、ミークアンは食べたことないかも。
出てきたものは、多めのコメの麺に少なめのスープ、こんもりと盛られたペラペラの豚肉とちょっとのエビという組み合わせでした。
柔らかい味ながら複雑なスープはなかなかおいしく、柔らかく茹でられた麺はちょっと塊になっていて食べにくいものの味はいい。
そして豚も冷しゃぶのような食感で食べやすくおいしい。
ごちそうというほどではないけれど、日常食としてのおいしさを感じるいい一杯でした。
一方、連れが頼んだのは冬限定という「シーフード入り、卵とトマトの辛口フォー」。
辛くておいしいと食べていましたが、ただ、ベトナムにはこんな辛いものはないのよあんた。
というのもベトナム人の味覚は辛さに弱く、カレーですらもともとベトナムにはないのです。
ベトナムカレーなる物は日本で勝手にイメージして作られたものなのです。まあおいしいならいいですけど…。
終わりにデザートの「コーヒーゼリーとココナッツプリンのチェー」という、ココナッツミルクにタピオカを浮かせたミニスイーツもついていましたから、お得感もけっこうありました。
ベトナムから料理人を呼んでるというだけあって、ひとつひとつがまっとうな現地の味。
夜はもっと妖艶な雰囲気のなかで、もっといろんなおいしい料理が楽しめるでしょうから、またぜひ行ってみたいものです。
親しいひと、大事なひととのひとときにどうぞ。
「ニャーヴェトナム」(恵比寿・ベトナム料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13003201/