本物の「シュクメルリ」です。
よく煮込まれた鶏肉は、スプーンで容易に身が骨から外れるほど柔らかく、ニンニクと牛乳の風味がよくしみておいしい。
さすが本場の味を謳うだけはあります。
ファミマでその存在を初めて知り、
日本の発火点の松屋で初めて堪能した、ジョージア(グルジア)の料理・シュクメルリ。
ひそかなブームとなりつつあるなかでロシア料理店が突如「ジョージア料理」も掲げ始めたのを見逃しませんでした。
もとはソビエト連邦という同じ国ですが民族も言葉も文化も違い、戦争もした間柄の両国。大丈夫かしらん。
よくある、ネパール人がやってるインド料理店、あるいは海外によくある韓国人がやってる日本料理店のようなものじゃないかとうがった見方をしてしまいます。
ところが店のウェブサイトを見ると、「20年前からジョージアのシェフを招聘してジョージア料理の普及に努めてまいりました」とあります。ならば本場のシュクメルリとはどんなものかと行ってみることにしました。
場所は新宿三丁目。
もともとこの店は西口のスバルビルの地下にあり、建て替えによってこちらに移転したもの。
スバルビルのときから何度か訪れていましたが毎回満席で入れず、これが最初の訪問となりました。
地下にある店内はやや薄暗いもののシックで落ち着いた雰囲気。あえて地下を選んでいるのかもしれません。
予約して頼んでいたのは「土日祝のジョージアランチ」。メインはもちろんシュクメルリです。
最初に出てきたのは「マリノーブナヤケタのブリヌイ包み」。
生のサーモンと玉ねぎのスライスなどをマリネしてスメタナクリームという発酵乳で和え、ブリヌイというクレープのような生地で包んだもの。
このブリヌイがふわふわでおいしく、けっこう量があります。
ロシア料理ですが店の名物と言うだけあって、入ってて嬉しい一品でした。
次が「ハルチョー」というジョージアのスープ。
四角い牛肉はスジのようですが、煮込まれてふわふわ。スープはトマトベースでほんのり甘みと酸味があり、底には米があり、見た目よりもボリュームがあります。優しい味でした。
そしていよいよ「シュクメルリ」。
鉄の薄い鍋に入れられてフツフツ言いながら登場したシュクメルリは、鶏もも肉1本+αが広いクリーム色の海に浮いた状態。これに小さめのパンが2つ添えられています。
まずスプーンですくってスープを飲む。ニンニクの香りが豊かでですが、味はコクがあって意外にも上品。さすがに松屋のものとは違います。
骨から身を剥して口に運ぶと、ホロっと崩れるような柔らかさ。スープと調和しておいしいのです。
小さなパンですがひと口には大きいのでフォークで半分に切ってスープを含ませるとこれまた至福の味わい。「世界一にんにくをおいしく食べる料理」などという、誰が言い出したんだかわからないコピーに思わず頷いてしまいそうになります。
最後の飲み物はロシアンティー。
3つの小さくない器にそれぞれジャムが満たされていて、「ソーサーを取り皿にして、舐めながら飲んでください」と。
3種類交互に舐めてみましたが、中でもさくらんぼのジャムが非常においしく、買って帰ろうかと思ったほどでした。
このコースが3,400円(税抜)。
ランチとしては値が張りますが、味といい雰囲気といい、それを上回る満足感が得られました。
ぜひ一度、本物のシュクメルリを味わってみてください。
ただ、松屋のシュクメルリ鍋も意外に再現性が高いことがわかり、決して悪くありませんので、こちらから入門、というのもいいかもしれません。
いずれにせよこれからブームになりそうなシュクメルリ。お試しあれ。
「スンガリー 」(新宿三丁目・ロシア料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13000768/