…長谷川さんって、だれ?
「長谷川さんこだわりのマッシュルームの鉄板焼き」をメニューに見つけたとき、井之頭五郎が抱いた疑問をやっぱり抱いた私たち。
しかしこのマッシュルームがほんとにおいしかった。
ピンチョス風に楊枝が刺された傘の内側には刻んだチョリソらしきものが詰められています。
スプーンにオイルごとすくって頬張れば、キノコの香りが口いっぱいに広がり、うま味も一緒に溢れ出てくる感じ。ずっとこれだけ食べ続けてもいいと思えるほどです。
「孤独のグルメ Season 6」第9話の舞台となったこの店があるのは旗の台。
東急大井町線と池上線という、都内にありながらマイナーな2路線がクロスする、とってもマイナーな街ですが、活気ある商店街があってなかなか暮らしやすそうな街です。
この街の象徴でもある昭和大学病院のすぐそばで「スペイン食堂」の看板を掲げている小さな店。
知らなければ近寄りさえしない場所にあり、店構えも地味ですが、その料理は感動の嵐でした。
とくにおいしかったのは黒板メニューの「カキとチョリソのアヒージョ」。
ぐつぐつたぎるオリーブオイルのなかに大きな牡蠣が3つ。
熱々を頬張ると、ぷりっぷりの牡蠣の食感がまず嬉しく、さらに牡蠣そのものとチョリソから来るうま味が合わさって思わず声が出るほどです。
チョリソのうま味が溶けだし、オレンジ色になったオイルまでもったいなく、バゲットを追加してしまいました。
また「アルボンディガス」はスペイン風肉だんご。
みっしりと肉々しい肉団子そのものがおいしいのはもちろんのこと、それを煮込んだトマトベースのスープがこれまたおいしい。トマトのうま味成分の力強さをあらためて知りました。
そしてパエリアはイカ墨のものを。
これも井之頭五郎が食べたものですが、予想以上に真っ黒け。
コメが黒いというレベルではなく、黒い塊、あるいは焦げた物体が敷いてあるかのようなのです。
しかしこれだけたっぷりとイカ墨が使われているとうま味も濃厚。しかもところどころに入っている小さなイカ の切り身がまた柔らかくておいしくて、すごくいアクセントになっていました。
ほかにも「イカ墨のクロケタス(ライスコロッケ)」もおいしく、何食べてもハズレがないという秀逸な店。
スペインのビールも自家製サングリアも美味。連れもしきりに感激していました。
こんな場所にこんな素晴らしいスペイン料理を出す店があろうとは。
都心から乗り換えなしで行く方法がない不便な場所にある店ですが、それでもここまで足を運ぶ価値はあると断言します。
おいしいスペイン料理を食べたくなったら、まずここを目指すといいでしょう。
「スペイン食堂 石井」
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131712/13052515/