ビクトリアカツって知ってます?
ニッポンの洋食って、店でいろんなアレンジをしていく過程で、適当にイメージした国や土地の名前をつけてきました。トルコライスとかボルガライスとか。
そしてビクトリアカツはメンチカツの別名なのですが、なぜビクトリアか。
メンチカツはそもそもハンバーグを揚げたもの。ハンバーグはドイツのハンブルク発祥なのはご存知ですね。
一方、現在の英国王室であるウインザー朝は元々ハノーバー朝といい、ハンブルクのあるドイツのハノーファー王国(選帝侯領)から迎え入れた王の血統。
そこから出たヴィクトリア女王の時代に英国は栄華を極めますから、その連想で【ハンブルクから来たヴィクトリア】でビクトリアカツになったのではないかと。
まあ、私の推理ですがたぶん当たってるんじゃないかと思います。
そのビクトリアカツの名称を使う店は全国でもかなり少なくなってきましたが、そのひとつが若松河田にありました。
国立国際医療研究センターのすぐ横にある「かどや」。
ビクトリアカツは定番メニューで、日替わりランチになって安くなることも。
みっしりと詰まったミンチと玉ねぎがキツネ色にこんがりと揚がった衣の中から現れます。
下味もしっかりつけられ、何もつけずに食べてもおいしい。主人の真面目さがそのまま出てるかのような味です。
キッチンの壁には「店訓」が張り出され「信用は無限の資本なり」「奉仕を先にして利を后(後)にする」「仲よく働け笑って暮らせ」など、寡黙な主人とテキパキした奥さんのふたりの姿勢がよく現れています。
今回、久しぶりに訪れて悩んだ末に頼んだのが「カキフライ」。
俵状の大きなキツネ色の塊が5個、積み重なって出てきたのには思わず声が出ました。
基本的に大きな牡蠣ひと粒ずつで揚げてありますが、小さなものを合わせたものも。
食べ応えがあり、臭みやえぐ味もなくおいしい。
ただ、私はカキフライは醤油派なので問題ないのですが、タルタルソースはつかず、サラダにマヨネーズが添えてあるだけなのは賛否が分かれるでしょう。
なお、キャベツだけでない丁寧なサラダとともに添えられたケチャップ味のスパゲッティも温かく、嬉しくなってしまいます。
ロースカツもまた肉質もよく、まっとうなもので、隅々においても「店訓」が行き届いていることが感じられます。
高齢のご夫婦だけで切り盛りする、古い小さなお店ですが、これからもずっと続けていってほしいと思います。
「かどや」(若松河田・とんかつ)
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13057294/