私は弱気な性格ゆえに、ラーメン屋でラーメンだけ注文することができず、ついチャーシューメンや餃子をつけてしまうのですが、今回餃子を注文したのはもうひとつ理由がありました。
それはメニューに手書きされた「ひとくちギョーザ7個 美味しい」の文字。
この店にはグランドメニューに別に「ギョーザ 6個 350円」があり、印刷されているんですが、それとは別にわざわざ手書きで加えられているのです。
しかも値段は同じで1個多いだけ。
それを「美味しい」の手書き文字で誘導しようというのですからよっぽどうまいか、店の利益が多いのか。
ついこの女性の文字の誘惑に負けて注文してしまいました。
来ると、たしかに小さい。
よくデパートで売っている大阪のあれくらいの大きさです。
口に放り込んでみて「美味しい」の意味がわかりました。餡がとろんっとしてるのです。普通、口に入れた餃子の餡は、みじん切りの野菜の粒子を感じるか、肉のペーストのねっとり感を感じるかのどちらか。
ところがこのひとくちギョーザはゼラチン的なぷるんっという舌触りを感じるのです。舌触りの味覚に及ぼす影響は大きく、食べた瞬間「うまい」になってしまうのです。
どうしてわざわざこのギョーザがメニューに加わったかはわかりませんが、選ぶ価値のある味でした。
さて、この店はラーメン屋。
九州を縦に貫く国道3号線から分かれ長崎に向かう国道38号線の途中の佐賀県吉野ヶ里町にあります。
国道沿いのラーメンの店はおいしい。
九州のとんこつラーメンについてはこの法則が成り立つ気がします。
久留米で発祥したとんこつラーメンはトラックの運転手たちの評判に乗るように各地に広まっていきました。南は鹿児島、西は佐賀、東は大分、そして北は広島周辺までのとんこつ勢力圏が形作られていったのです。
そのせいか九州各地の国道沿いにはラーメンの老舗が多く、おいしい店も多いのです。
当然ながらこの店もとんこつ。
やっぱり気弱な私はチャーシューメンを注文してしまいましたが、それでも1杯700円。
出てきたチャーシューメンは全面をチャーシューが覆い、隙間を埋めるようにスープが顔をのぞかせています。やや黒ずんだ肌色。表面には油が浮きいかにもギトギトっぽい雰囲気。
しかし驚いたことに口当たりは軽く、あっさり。クリーミーでギトギト感はありません。
塩分も適度で、くどくないいいスープです。
一方、麺はストレートの中細麺。
博多よりも太く、ぼそっとした食感もぶちっと切れる歯ごたえも久留米そのままといった感じ。距離の近さを感じます。
これはうまい。
佐賀ということで知られてはいませんでしたが、福岡の有名店と伍して戦える実力はありました。
ただ、チャーシューが薄い…。
まあ1杯700円なのですから仕方ないとはいえ、せめて紙のような薄さではなく、もう少し厚切りのチャーシューを食べさせてほしい気がします。もちろんその分高くなっても。
とはいえスープは驚くほどのうまさ。
今回、たまたま佐賀に行く用事があり途中で昼を過ぎたのでラーメンかちゃんぽんかで適当に調べて入ったのですが大当たりでした。
国道とJRの線路の隙間の細長い土地に車が入りきれないほどの人気がよくわかりました。
もし佐賀に行くときがあれば、県西部では「井手ちゃんぽん」、東部では「大久ラーメン」と覚えておくといいでしょう。
「大久ラーメン」(佐賀吉野ヶ里町・ラーメン)
https://tabelog.com/saga/A4101/A410102/41000882/