山形名物・冷やしラーメンです。
氷が浮いています。
かつて仕事で山形と福島の県境に行ったとき、この冷やしラーメンが食べてみたくてわざわざ山形に足を延ばして元祖の店に行ったこともありました。
冷やすと油脂は凝固しますから、スープは鶏ガラが主体。豚骨なんてとんでもない。
スープをすすってみるとちょっとしょっぱめ。冷やすと味がわかりにくくなりますから濃いめに味付けしてあるのでしょうが、ちょっと喉の奥にえぐ味が残るような感じを受けます。しかし全体的にはだしも効き、醤油味も効いてておいしい。
特徴的なのは麺で、太めの丸い麺で弾力がありながらプチン、ぽろっと崩れる感じ。ちゃんぽんの麺のようでいて違います。この食感が同じ麺をどこかで食べたような気がするのですがどうしても思い出せません。あ、ウイグルのラグメンだったかな?冷やして固めになってるせいもあるでしょうが、とにかくユニークな麺です。
と、冷やしラーメンのことばかり書いてしまったのでラーメン屋と勘違いされそうですが、ここは山形の郷土料理を中心とする居酒屋。都営新宿線曙橋から坂を登ること5分、商店の並びのいちばん端っこに位置する感じの小さな店です。
先日、昼ごろに前を通りかかったときにお弁当を販売していて、それがおいしそうだったので気になっていました。しかし山形料理の店だとは知らず、入ってから気づくことに。
なお、冷やしラーメンはグランドメニューではなく、きょうのおすすめの紙に載っていましたので普段はないかもしれません。
さて、山形と言えば芋煮です。
山形では秋になると河原のあちこちで焚火をし、大きな鍋で芋煮を作る光景が見られるとか。バーベキューの先駆けというか、収穫の秋を祝い、厳しい冬に備える屋外イベントなのでしょう。
芋煮に牛を使うか豚を使うかで、山形と宮城の間では論争があるようですが、実際に食べてみておいしいのはやっぱり牛です。この店の芋煮も、山形牛を使っていて牛のうま味が濃厚。とくにだし汁がおいしく、残っただし汁だけで酒が飲めるほど。里芋が3個だけだったのがちょっと寂しい気もしましたが、やはり山形の芋煮は食うべしです。
そのほか、鮮魚や焼き物にも力を入れていて、頼んだ「あじのなめろう」も丁寧に刻んでいて味付けも優しめ。
きゅうりなどの夏野菜を刻んで塩に漬けた「だし」も山形の名物で、最近スーパーでも手に入るようになったものを買ってご飯にかけて食べたりしますが、この店では冷奴の味付けに「だし」。
この店がおもしろいのは、カウンターに調味料が一切ないこと。醤油の瓶すらないのは相当珍しい。それほど味つけに自信があるのでしょう。
メニューを見ると「ほんまやの晩御飯」というページがあり、1,300円とか1,650円とかいった値段の定食も。ここでビール1本に定食という夕食もまたいいかもしれません。
曙橋という、都心にありながら辺鄙な雰囲気漂う街のさらに外れにありますが、店の雰囲気もよく、カウンターも大きいのでおひとりさまでも気兼ねすることがありません。
ふとおいしいものが食べたいとき、山形の郷土料理に触れてみたいときにはとてもお勧めです。
「ほんまや」(曙橋・郷土料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13203341/