千葉・南房総に激ウマカレーを見つけました。
館山から東に向かい、捕鯨で知られる和田町をすぎると、そこはもう鴨川市。江見という海沿いの小さな集落を通って峠を越えた下り坂に、小さなカレー屋があります。
自然にスピードが上がる場所ですから、見つけては気になるものの時すでに遅し、という感じで毎回通りすぎていました。
黄色に赤の角ポップ体で「ライバック」と書かれた看板のデザインの適当さ(失礼)から、新橋にあるような庶民的なスタンドのカレーを想像しますが、実際に店に入るとかなりおしゃれでびっくりします。プチビストロ。
カレーもまたおしゃれ。
限りなく黒に近いカレーソース(ルー)は香り高くコク深く、最初の口当たり甘くあとでけっこう辛いという本格的な味。
カレーのメッカ・神田でもじゅうぶん通用すると思えるほどのおいしさです。
この黒のカレーソースに様々なトッピングが用意されていて、地元産の鯨を使った鯨カツカレー(1,030円)は定番メニュー。
やってきたのは、たっぷりと注がれたカレーソースの海に浮かぶご飯の島と、その波打ち際に正座したクジラカツ。しかもカツはキャベツの座布団を敷いてもらうという厚待遇ぶりです。
断面は漆黒。細かいパン粉で作られた衣は非常に薄く、カリっとした歯触り。中身はやわらかいままでかつ生っぽさがないという絶妙な火加減です。
鯨肉の原価が高いですからカツがやや小さめなのは仕方ないとして、とても食べやすいおいしい鯨カツです。
そしてランチタイムにつくサラダとスープがまたおいしい。
サラダは簡素ですが、トマトは甘く、キュウリは歯触りよくいいものであることがすぐわかります。
スープもまた野菜たっぷりで味わい深い。生半可な修行で身につけた技でないことはこのスープで最もよくわかります。
このセットの1,030円は正直、かなり安いと思います。
聞くと、この店のご主人はホテルニューオータニひとすじの料理人で、40年の超ベテラン。
現役のときから趣味の釣りでこの江見をたびたび訪れていて、定年退職を機に移住。料理の経験のない息子と一緒に店を開くにあたって、完璧なレシピを作って伝えられるということでカレー屋にしたとか。
ニューオータニで食べたら、カレーは2,600円+税・サービス料で3,000円を超えます。
その技と味を受け継いだカレーがたったの【620円】から食べられるのですから驚きです。
トッピングは、普通の豚肉のロースカツやヒレカツに、牛すじや鶏の脚が一本まるまる乗ったものにシーフードも。
さらに「房総ジビエ」と称して地域で獲れたイノシシのカツカレーもあったりとバラエティーに富んでいます。
また、野菜ゴロゴロカレーはズッキーニから大根・蓮根など10種類以上の色とりどりの野菜が乗っていて楽しい。
そして忘れちゃいけないオムカレー。
ホテル仕込みのきれいなプレーンオムレツはふわふわのとろっとろ。
真ん中で割るととろーんと開けていく美しいこのオムレツは、たったの200円でトッピングできますから必ず頼むべきです。
とにかく、この味がこの場所、この価格で食べられるのは驚き。
このカレーを食べるためだけに南房総に移住してしまいたくなります。
ぜひみなさんも南房総や鴨川に遊びに行くときは、行ってみてください。
「ライバック」(鴨川・カレー)
https://s.tabelog.com/chiba/A1207/A120703/12026617/