写真は、井手ちゃんぽんの野菜大盛り(800円)。マッターホルンかチベットのカイラス山かと見まごうばかりの野菜の山。野菜だけを食べるのも一苦労です。
戦後まもなく誕生したこの井手ちゃんぽんに比べたら、ラーメン二郎などはしょせん劣化コピーにすぎません。
しかし、ここまで九州人の心をつかんだ井手ちゃんぽんですが、場所が悪すぎました。
なにしろ本店の場所が佐賀県の北方町という片田舎。佐賀から長崎に向かう国道34号線の武雄温泉の手前、曲がりくねった道の途中にぽつんとある店なのです。
平行して長崎自動車道も走っていますし、わざわざこの店に行くという目的がなければ通る場所ではありません。
井手ちゃんぽんに行きたしと思へども
井手ちゃんぽんはあまりに遠し…。
あのこってりしたスープの味がなつかしく、無性に行きたいとは思っても、なかなかおいそれと行ける場所ではなかったのです。
ところがその井手ちゃんぽんが、いつのまにか福岡市近郊、筑紫野市原田の旧国道3号線わきに店を開いていました。
たまたま見つけた私の狂喜乱舞たるや、井手ちゃんぽんを知らないものには到底理解できないことでしょう。
ちょうど帰省シーズンの日曜日の昼ということもあって店内は満席。私のあとには車が駐車場に入れず、店内にも行列ができるほどでしたから、やはりみんな井手ちゃんぽんが好きなのでしょう。
早速頼んだのは「特製ちゃんぽん」(800円)。
レギュラーメニューの「ちゃんぽん」(650円)がその山のように盛られた野菜が客を圧倒することで有名なのに対し、こちらは盛り具合はまだ普通。
特製のゆえんは丼が真っ黒に見えるほどのキクラゲと具の中央に埋め込まれた生卵です。
キクラゲがコリコリとしておいしく、生卵は食べる途中で潰して麺とからませるととろっとして、濃いスープと調和。いいアクセントになります。
井手ちゃんぽんの特徴は、なんといってもこってりとした白濁とんこつスープ。これにぷりっとしてなめらかな食感の太いちゃんぽん麺がからみ、さらにしんなりと炒められたキャベツやピンク色のかまぼこがどっさりと乗って三位一体のこってりちゃんぽんを形作っています。
本場、長崎にもこれほどこってりとしたちゃんぽんはなかなかありません。井手ちゃんぽんは井手ちゃんぽん、独自のジャンルと言ったほうがよく、それゆえに固定ファンをがっちりとつかんでいるのでしょう。
メニューにも書いてあるとおり、普通盛りでもほかの店の大盛りくらいの大きさのある井手ちゃんぽん。
ここ筑紫野のほかにも各地に展開を始めているようですから、全国にその名が轟くようになるのももうすぐでしょう。
かつて佐賀県の片田舎にしかなく、知る人ぞ知る存在でしかなかった井手ちゃんぽん。
本場・長崎のちゃんぽんとはかなり違うこってり井手ちゃんぽんは、九州に行くのならば必ず食すべき一品として強く推薦します。
「井手ちゃんぽん」(福岡筑紫野・ちゃんぽん)
https://tabelog.com/fukuoka/A4003/A400301/40017907/