【閉店しています】
朝昼はうどん屋、夜は立ち飲みといういわゆる二毛作の店なのですが、つまみのうまさが半端ではありません。上の写真はこの店の名物のひとつ「シャシュリーク」。
中央アジアのケバブがロシアに伝わったものだそうで、肉の塊を串に刺してたれに漬け込んだものを焼く一種のバーベキュー。この店では焼きあがった串をそのまま客席に持ってきて、店員が大きなナイフで削ぎ切ってくれます。これで570円なのですから驚きです。
もうひとつの名物が「サモサ」(420円)。揚げ春巻き風のインド料理ですが、これもまた中央アジアがルーツとのこと。
パリパリとした食感の薄い皮の中はカレー味ではありますが、どこかシルクロードっぽい雰囲気を持っています。
そのほか、四大名物とされるのが「風神ワンタン」(520円)と「ゆきとら」(420円)。「風神ワンタン」はゆでたてのワンタンにたっぷりのネギとたれをかけ、熱々のネギ油を回しかけたもの。「ゆきとら」は揚げたての餅にたっぷりの大根おろしと醤油のたれをかけたもの。
とても立ち飲みの店とは思えない、多彩で手の込んだオリジナル料理が、しかも非常にお手頃な価格で提供されるのです。
それもそのはず、この店を経営するのは西荻窪にある「風神亭」という本格的な居酒屋。上の四大名物も「風神亭」直伝なのです。
店内は、3分の2が立ち飲みのフロア。周辺のビジネス街で働くオヤジたちオバサンたちが肩を寄せ合い、夜な夜な語り合っています。この写真は空いているとき。混んでいるときは身動きが取れないほどです。
そして奥には座席も。座席はオイル缶で狭いテーブルではありますが、席料300円でゆったりできるのですから、私はこっちが好きです。
この店はもともとセルフのうどん店ですから、酒のつまみもカウンターで注文。そして飲み物もこんな風に完全セルフ。びっくりです。
生ビールジョッキ1杯380円。下の冷蔵庫から冷えたジョッキを取り出して、サーバーにセット。お金を入れ、ボタンを押すと、サーバーが全自動でビールを注いでくれます。もちろん泡もいい具合に。こうした機械自体は大きな居酒屋にはあるのでしょうが、客にセルフで注がせるのは初めて見ました。料金を自動で収受し、サーバーと連動してビールが注がれる様子を見るのはなかなか楽しく、これをやりたさについ飲みすぎてしまいます。
そのほか、日替わりのメニューもいいものが揃っています。写真は「マコガレイの昆布〆」。マコガレイの刺身自体あまり聞かないのですが、それを昆布締めにするとねっとりとした味わいとなり非常においしくなります。これで360円というのが申し訳ないほどです。
「黒そい唐揚げポン酢」は310円。カサゴの仲間であるクロソイの小さなものを唐揚げにしたもの。食べるところもそう多くはないものの、うま味があり満足感はちゃんとあります。なにしろ310円で熱々のものを頬張れるのですから。
一方、定番メニューもまた安定感あるうまさ。
「とりから」は大きな鶏肉が4個もごろごろしててたったの360円。カチッとした衣も歯触りが良く、なにしろ熱々ではふはふ言いながら食べられる喜びったらありません。
「冷奴」もちゃんとした豆腐にたっぷりのネギにかつお節にしょうがもついて、なんと210円。ほかの店での値段が「なんだかなぁ…。」と思えてきます。
この店に何年も前から通う友人によると、何年も値段を変えてないとのこと。個々のメニューの量は少し変わったのかもしれませんが、それでもこの値段で営業し続けていることは驚きです。
立ち飲みとはいえ、侮れないおいしさのメニューを安く提供し続けるこの店。わが家の近くにあったらほぼ毎日通い詰めてしまいそうです。
椅子もありますから、立ち飲みだなんて先入観を捨ててぜひ一度夜に訪れてみてください。この安さとおいしさに必ずびっくりしますから。
「びっくりうどん本舗」(八丁堀・立ち飲み/うどん)
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130203/13044198/