【閉店しています】
いい季節になってきました。かきめしです。
ぎゅっと味が濃縮された牡蠣に、おこげのごはん。
そのうま味はまんべんなくしみわたっているものの、一粒一粒の牡蠣をかみしめたときのコクのある濃いうま味がたまりません。
上にきれいに並べられただけでなく、下のほうにもしっかり埋め込まれた牡蠣がぴょこんと顔を出すのもまた嬉しくて、夢中になってかきこんでしまいます。
かきめしと言えば北海道厚岸の駅弁が最高ですが、ここ築地の場内にあるカジュアルな食堂のかきめしもまた優るとも劣らないおいしさです。
ここは、「磯野家」。
築地場内の魚がし横丁でも、行列のメッカとも言うべき6号館や8号館とは並びが違う10号館にあり、喧噪とは少し距離を置いたこの場所の2階を占めています。
1階の入口が隣の「磯寿司」とは同じ経営。
磯野家と書かれた方ののれんをくぐってすぐの階段を登れば10号館の2階全部を占めるだけあって広々とした空間が広がります。
メニューは和食・中華・洋食なんでもござれの大衆食堂スタイル。しかしそれぞれに専門の料理人がいるとのことで、どれにするか迷ってしまいます。とくに評判通りの腕の確かさを感じたのは中華。
「ホタテと青菜のうま煮焼きそば」は、眼鏡のレンズほどもある大きなホタテの貝柱がごろごろしててびっくりです。
青菜のチンゲンサイもたっぷり入り、麺がまったく見えないほど。
麺はたぶん通常の1人前が使われているのですが、それが異常に少なく感じるほどで、こんなに具の多いあんかけ焼きそばは初めてかもしれません。
味も濃いめですがとてもおいしく、冬期の名物というかきめしと並んでこの店で真っ先に食べるべきものだと言えるでしょう。
そのほか、フライも頼んでみたのですが鮭フライが出色の出来でした。
季節がら、北海道からの生鮭があったからなのかもしれませんが、さくさくの衣を頬張ると、ふわっと口いっぱいに広がる鮭のうま味がたまりませんでした。
熱々でさくさくというのはやはり我々がフライを愛してやまない原体験なのでしょう。
アジフライも食べてみましたが、いまの季節食べるとしたらやはり鮭フライにとどめを刺します。
そのほか、築地の鉄人・なべひろさんの話では、ここのチキンカツカレーの大盛りは圧倒的な量だそうで、大食漢で知られるひとが一瞬ひるむほど。量を食べたい方はぜひ一度チャレンジしてみてください。半端じゃないそうなので。
とにかく、いまや観光客相手が中心になり、とびきりいいものを出すものの値段もそれ相応になってしまった場内の飲食店にあって、頑なに大衆食堂であることを守り続けているように見えるこの店。
大衆食堂だからと侮れないほどのおいしいものがいっぱいありますから、気合いを入れずに気軽に食べたくなったらぜひ目指すべき店です。
「磯野家」(築地場内・定食)
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131301/13014821/