この店で筋子のおむすびを頼んだら、「東北か北海道のご出身ですか?」と聞かれました。
というのも、福岡の人間はそもそも「筋子ってなに?」というレベルだそうで、一度解説を聞かないと注文しないとのこと。
食べログでもこの店の筋子について「卵が成長し、くっついたのが筋子」なんて書いたりする人もいるくらい。たしかに九州では鮭がとれないので仕方ない部分もあるのですが…。
ここは福岡市中心部から電車で15分ほどの郊外にあるおむすび専門店。注文を受けてから握るおむすびのおいしさはびっくりするほどです。
しかもテイクアウト用のおむすびの包装が竹の皮。
竹の皮で包まれたおむすびって何十年ぶりに食べたでしょうか。
ここでのお勧めは「一合セット」。基本料金は820円で、ひとつ300円以下のおむすび3つにミニ惣菜が3品と漬物、それに味噌汁(テイクアウトは味噌玉)がつきます。一方、おむすび2つでそれ以外同じの「おむすびセット」は700円とその差110円しかなく、申し訳ない気がするほど。
なお、300円以上のおむすびを選んだ場合はその差額が必要ですが、それでもじゅうぶんにお得です。
おむすびの具は常時20種類以上。これに月替わりの具が加わり、目移りしてしまいます。
どれを食べてもおいしいのですが、出色は「筋子」と「海老生姜」と「鶏そぼろ」。「海老生姜」はこの月の限定でしたが、小さいながらもぷりっぷりの海老に生姜の辛味が引き立てています。鶏そぼろは駅弁の鶏めしに乗ってるようなものではなく、しっとりして色も鶏肉そのまま。これが不思議においしい。
「生たらこと青山椒」もまた月替わりでしたが、生たらこのしっとりしたおいしさを青山椒のピリッとした軽い痺れのような刺激が引き立てています。
こうした具のバラエティ、組み合わせの妙もありますが、おいしさの基本は硬めに炊かれたお米といい塩梅の塩、それに質の高い海苔があってこそ。海苔だけのおむすび(160円)もたぶん相当においしいのでしょう。
いまやおむすびはコンビニで買うことが当たりになったことで、海苔はパリパリ派が年々増えていき、いまでは圧倒。しかし携帯食としてのおむすび本来の姿は、あらかじめ海苔が巻かれてるもの。
とくに竹の皮に包まれたものは、竹が湿気を吸うことで海苔の香りと味が引き立ち、冷めたご飯との素晴らしい調和を見せてくれます。この店のおむすびをぜひ一度食べてみてください。
今後、誰かに差し入れをするときには私はこの店のおむすびを真っ先に選ぶことにします。
「おむすび ぎゅっぎゅ」(福岡二日市・おにぎり)
https://tabelog.com/fukuoka/A4003/A400301/40053773/