福岡を代表するうどんなのに、なぜ因幡の国の「因幡うどん」なのか。
その謎がようやく解けました。
福岡のうどんは、おだしが薄くて麺は太くて腰無しふやふや。
日経の野瀬さん(久留米出身)と飲むと必ず福岡のうどんへの愛を熱く語るほどで、実は福岡出身者にとってはラーメンよりも古く、馴染み深い日常食です。
今回、福岡に帰省して両親と一緒のお昼ごはんに選んだのが、福岡市中心部から南にひと駅の薬院にある「因幡うどん」。
昼はセルフ式でしたが、麺はふやふやでずるずるでぶちぶち。
おだしは薄くてうま味たっぷり、丸天もごぼ天も「肉=牛」の肉うどんもすべてが福岡のうどんの王道でした。
肉うどんにはたっぷりの玉ねぎが。
関東ならば長ネギが入るところですが、甘い玉ねぎを選ぶところが九州ならではというか。
だしは羅臼産の昆布や五島・島原産の煮干しいりこなどを使っているそうで、やさしくふくよかな味わい。
くどさがありません。これぞ福岡のうどんのだし、と言うべきおいしさです。
麺は真っ白で太く、ふやふや。弾力はほとんどなく、歯に触った瞬間にぷちんっと切れる感じ。
讃岐とはまったく正反対の性質ですが、これはこれ。どちらかというと福岡のうどんは昼食とおやつの中間のような感じ。しかも昼はいなりずしなどを付けることが多いため、麺そのものにボリュームを求めず、だしのうま味が重視されたのでしょう。やはり私などにとってはこちらのほうが好ましく感じます。
さて問題は店名の「因幡うどん」。
なぜ福岡なのに遠い鳥取の旧国名が?とずっと昔から不思議に思っていました。
すると父が昔のことを覚えていました。
昔、福岡の中心・天神の片隅に小さな店が集まった商店街があったとのこと。元は闇市から始まったというこの商店街、「ハトヤ」という高級衣料品店があったり洋菓子の「風月」の本店とカフェがあったそうです。
この商店街の名前が「因幡商店街」。
いまは天神コアという商業ビルになっているこの場所から移転しても「因幡」の名を残し、福岡を代表するうどんの店として今に続いているのだそうです。
さすが福岡の百貨店で食品ひと筋に頑張ってきた父。その記憶と知識はたいしたものだと感心しました。
福岡を代表する、だしのおいしさで食べさせる名物うどん。
博多ラーメンはもう福岡に来なくても食べられます。
福岡に立ち寄った際は、ぜひこちらのうどんを食べてみてください。
「因幡うどん」(福岡薬院・うどん)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40006634/