【閉店しています】
まさに、後を引くうまさの「和牛もつ煮込み」です。
日本の下町の味ではなく、フランスのそれ。ワインと一緒に煮込むことでじっくりと引きだされた濃厚なうま味は、バゲットで最後まで味わいたくなるほどです。
オプションで付けた、褐色に染まったゆで卵を割ってみると、半熟の黄身がとろりとこぼれ、重めの味に柔らかさと優しさを加えてくれるのです。
明治通りを南に下って並木橋交差点まで来ると、もう渋谷は終わり、といった雰囲気。ここはJRAの場外馬券売り場があることもあり、とくに週末には少々殺伐とした空気が漂うところでした。
しかし最近この並木橋交差点周辺にはこれまでとはちょっと違うタイプの店が並び始めています。
その代表格とも言うべき店がここ。
最初はダッチオーブンを使った料理を中心に据え、少しかしこまった感じのビストロだったようですが、たちまち人気になって2店目「ミニヨン・サカノウエ」、3店目「サンパミニヨン」と次々に展開するにあたってダッチオーブンの料理はそれらの店に移してしまいました。
実際の距離にして数百mしか離れていないとはいえ、2店目3店目のほうが青山に近く、客層もよかったのでしょう。 この店は和牛モツ煮込みを目玉に、もっと気軽にワインを楽しめる店となったのです。
とはいえ、そのほかの料理も丁寧で気が利いたものばかり。
「生野菜盛」の自家製マヨネーズはクリームのような軽い感触でふんわり。もったいなくて野菜だけ追加してしまうほどです。
「はまぐりのこがしバター」はタイムなどハーブがしっかりと効いていて、はまぐりのうま味を上手に引き立てています。
また、牛のテール煮込みである「テイル」は看板の「和牛もつ煮込み」同様の濃厚な味わい。
シメにぴったりな「カレー&クミンライス・ミニ」は量が少なめながら、名物と言うだけあって煮込みかたが半端ではなくうま味も濃厚。これだけ専門で展開してほしいほどです。
料理のおいしさにつられ、ついつい杯も重ねてしまうこの店ですが、より楽しむコツがあるとすれば、徹頭徹尾ボトルワインで楽しむことでしょうか。
2人で訪れた私たちは最初、ビールとスパークリングワインで乾杯し、次に安い赤ワインをボトルで1本。しかし足りなくなってハーフボトルを追加し、それでも足りずにグラスワインを2杯頼んでしまいました。
その結果、総額16,000円。確かに飲みすぎたとはいえ「モツ煮込みとともに気軽にワインを楽しむ」にしてはひとり8,000円はちょっと「気軽」ではありませんでした。
繰り返しになりますが、最初の一杯はともかくワインはボトルでひたすら飲むべし。それがこの店と長くつきあっていく秘訣でしょう。
ワイン好きにはたまらない店。絶対のお勧めです。
「ミニヨン」(渋谷並木橋・ビストロ)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13078630/