かつて、日本でまだ「洋食」と「イタリア料理」の区別がついてない時代そのままの雰囲気を感じられる店、といったら怒られるでしょうか。
しかしその腕は間違いなく確かで、おいしいものを手ごろな価格で楽しめるいい店です。
日替わりランチに出てきた「スズキの磯部揚げ」が象徴的で、青のりがまぶされたフリッターのような厚めの衣のなかから出てくるのはほくほくっとしたスズキの身。端正な白身の味が余すところなく閉じ込められ、食べる者を喜びへといざないます。
同じプレートに乗った「チキンのトマトソース煮」もうま味たっぷりのソースが効いていて美味。
ランチではメインの他にカップに入った味噌汁と小さなサラダ、平らな皿に盛られたライスが付き、さらに各テーブルにあらかじめ置かれたパンも自由に食べていいようです。
これで850円はかなりコストパフォーマンス高いと言えるでしょう。
場所はJR高田馬場から東に歩くこと3分ほど。
TSUTAYAとドコモショップが同居するという珍しいコラボ店の入ったビルのすぐ先を左折し、神田川に向かうゆるやかな下り坂の途中にこの店はあります。
この通り、地味ながらけっこう良さそうな飲食店が軒を連ねていて、穴場的な存在。
その真ん中の、ちょっとビルの1階の奥の方がこの店です。
ガラスの重い扉を開けると、薄暗い店内は独特の雰囲気。
蛍光灯をイタリア国旗で覆うことで赤と緑の光が加わり、カクテル光線のような効果をもたらしています。どことなく70年代の香りを感じる店内ですが広くゆったりとテーブルが並べられ、くつろげる感じではあります。
また夜はイタリア料理店というよりも洋風居酒屋といった感じのようで、飲み放題のコースがあったりと地域の客層に合わせた店として愛されているようす。
とくに土日は料理を自由に注文した上に、+980円でワインなど飲み放題をつけることができるのがとてもお得感があります。
ただ、奥の個室がカラオケ可、となっていてカラオケ付きコースも設定されているようですから、個室の防音性によっては雰囲気がちょっと崩れるのかもしれません。
ランチには2回行きましたが、 正午を過ぎると周囲の会社からどっと客が押し寄せほぼ満席に。人々に日常的に親しまれているといった感じです。
別の日にあらためて訪れた日の日替わりランチは「サーロインステーキ」。
しかし大根おろしとポン酢が添えられてやっぱり和洋折衷でした。
定番メニューも「しょうが焼き」や「ハンバーグ」など慣れ親しんだ洋食の片隅に「ラザニア」がちょこんと顔をのぞかせている程度です。
まさに、これがこの店の生きる道なのでしょう。
確かな腕はそのままに、地域に合わせておいしいものを手ごろな価格で提供するという店づくり。店としてのこの生き方を応援したいと思います。
ぜひ行ってほしい、かなりのお勧めです。
「ロマーノ」(高田馬場・イタリア料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130503/13010934/