琥珀色の澄んだスープは、醤油味でありながらとがったところがなく、まろやかな舌触り。
太く縮れの強い麺は、透き通っていて弾力があり、しっかりとした小麦の味と食べごたえもあります。
メンマもきれいに戻されたあと丁寧に味付けされていて、しなやかで適度な柔らかさ。
そして煮卵は珍しい固ゆで。半熟だと黄身が溶けだし、スープの味をよごすのが嫌いでしたから、固ゆでは歓迎です。
全体が非常に高度にまとめられており、中華そば、いわゆる支那そばのひとつの到達点がここにある感じです。
この店があるのは目白。
駅を出てすぐ左に降りていく階段を下り、すぐまた登る細い坂道を登ったつきあたり。
忍者屋敷か武家屋敷かと見まごうような立派な構えの扉をくぐると細い回廊のようになっていて、建物の左にある引き戸へ。
どうやらこの回廊、行列する客を収容するためのもの。道路側は格子になっていて風を通し、屋根が日差しを遮ります。なんと親切な。
店内は古民家風で薄暗く、黒電話や箪笥などレトロな品々があちこちに飾られ、壁には古い写真や昔のこの店の看板が。
読むと、この店は昭和22年に新宿で創業。いまの「思い出横丁」にあったとか。
その70年以上の歴史を大切にしているのがひしひしと伝わってきます。
まず頼んだのは「わんたん麺 煮玉子入り」。
これに「手作り餃子」をつけて。
サービスでおにぎりが付くとのことでそれも。
注文したあとで気づいたのですが、餃子とワンタンは似たもの同士。かぶってます。
でも全然別物でした。
ワンタンは皮が薄く、具が厚みがあるタイプ。
餃子はふわっとした餡を軽く包み込む感じ。この餃子はおいしかった。
冒頭に書いた通り、スープも麺もメンマも隙がなく、完成されています。チャーシューもふわっとして茹でた牛タンのような歯触り。
万能ネギもいいアクセントで文句のつけようがありませんでした。
翌日も目白に用事があったので、2日連続で訪れ、今度は「中華そば 燻製玉子入り」を。
燻製玉子は別皿での提供ということで、さらにシンプルを極めた感じで、麺とスープの調和を堪能することができました。
ふだん目白に行く用事はなかなかないかもしれませんが、池袋や高田馬場から足を伸ばして行くだけの価値はあると保証します。
「さんかく」(目白・ラーメン)
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130502/13050903/