福岡空港でいい店を見つけました。
ビールセット、税込1,000円です。
中ジョッキに餃子5個と牛すじ煮込み、さらにサービスでカシューナッツと揚げ麺つき。
空港内でこの値段というのはびっくりです。
この店があるのは福岡空港。
「ラーメン滑走路」という、地元と全国から選抜された店が競うモールのなかで、いちばん無名で地味な店ですが、サービスがよくラーメンも予想外においしいものでした。
頼んだのは「チャーシューメン」(840円)。
バラ肉を丸く形成したチャーシューが、丼を一周するように取り巻く姿は壮観。東京だとチャーシューメンは軒並み1,000円を超えますから、この店のはお得です。
豚骨に鶏ガラスープもブレンドしているというスープはクリーミーであっさり。うま味はしっかりあって真面目な味。くどさがないので毎日でも安心して食べられそうです。
この店、もともと福岡空港の改装前から営業する、別の名前のラーメン店でした。観光客よりも空港従業員を相手にするような、安いラーメンを出す店だったそうです。
ところが空港ビルの大改装に伴い、地元と全国のラーメン店を集めた「ラーメン滑走路」ができることになり、ここに参加することが決まってからすべてをリニューアル。
名前も「玉龍」に変え、ラーメンも一から作り直したんだそうです。地元の有名店と全国の精鋭を迎え撃つにあたっての意地だったのでしょう。その努力は味に実っています。
ところでこの店名の「玉」、かつて福岡にあった老舗百貨店の名から取っています。その名は「玉屋」。
福岡で最も古い百貨店として、歓楽街で有名な中洲にあったのですが、場所の悪さに加えて三越の福岡進出などをきっかけに1999年に廃業してしまいました。
ただ、一部の業務は残していて、いまでも福岡空港には玉屋の大きな土産物売場があり、このラーメン店も食品事業の一部なのです。
もうひとつの地元百貨店だった「岩田屋」も経営危機から伊勢丹に吸収されていて、名前だけが残った状態。いまや福岡市には地場の百貨店がひとつもなくなってしまいました。さびしいものです。
さて、ラーメン以外でおいしかったのは卓上で無料提供されている辛子高菜。
ほどほどの辛さであって、単体での酒の肴やごはんに乗せて食べるのに最適です。
そもそも辛子高菜はごはんの友なのですが、ラーメン屋でそうやって食べられるといくらあっても足りず、商売上がったりになってしまうためわざと激辛にし、少ししか食べられないようにしているもの。
この店はそんなセコいことをせず、おおらか。あまりのおいしさに、お土産用の辛子高菜を買ってしまいました。逆に罠にはまった気分ですが。
飛行機までの時間があるときはお酒とともにゆっくり、あまり時間がないときはサクッと。それぞれの都合に合わせて使える便利な店ですので覚えておくといいと思います。
「屋台ラーメン 玉龍」(福岡空港・ラーメン)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400107/40047416/