見よ、肉の塊のこの異様な迫力。
まるで野球のグローブのようです。
厚切りされた豚肉の筋を切ることで焼いたときに反りかえるのを防ぎ、また熱が短時間で内部に通るようにする工夫ですが、この切れ込みのせいで肉の塊はグローブ状に広がり、見る者を圧倒するのです。
もともと三重県の四日市のご当地メニューだったトンテキ。11年前に当時のB級グルメブームに乗って渋谷にやってきましたが、ここまで長続きするとは正直思っていませんでした。私自身、11年ぶりの訪問です。
写真は「大トンテキ定食」1,250円。
温められた小さなフライパンにもやしが敷かれ、その上に300グラムの豚肉の塊が乗って出てきます。
揚げニンニクのスライスが大量に振りまかれ、脇にはキャベツの千切りが。
普通の「トンテキ定食」が200gで1,050円、2,300円の「特大トンテキ定食」はなんと500g。300gでけっこう苦しくなったのに、500gなんていったいだれが食べるんだか…。
これら肉の塊は、ウスターソースをベースにしたタレをからめて焼き上げてあり、肉じゅう茶色でテカテカ。味はさほど刺激的ではなく、甘ったるくもなく見た目よりもあっさり。
大量の肉の塊を食らうにはこのくらいのあっさりさがちょうど合う感じです。
厚さ4cmはあろうかという肉をコキコキ切って口に運ぶときもかなり大きな塊状。いかにも「肉を食ってる」という実感があり、ギャートルズの“あの肉”を食べている気になります。そういう意味ではかなり満足感は高いでしょう。
店内はカウンターが中心で、奥の暗い場所に2人×4のテーブル席の計30席ちょっと。カウンターの中央に厨房があります。
メニューはトンテキを中心に絞り込まれていて、ほかは「トンバーグ」と名付けられた豚100%のハンバーグがあるくらい。
このトンバーグはきめが細かく、しかしねっとりしてないというスタイル。豚肉のおいしさが凝縮された感じで食べやすい一品です。
一方、以前あった「スタミナ丼」。
角切りの豚肉とキャベツ、玉ねぎ、ニンニクの芽を炒め、生卵を落としたものでしたが、消えてしまったようです。
店もメニューもややファストフード的ですが熱々の肉の塊を手ごろな価格で頬張れる店としては貴重。
肉食いてぇ~ってなったときにはお勧めです。
「東京トンテキ」(渋谷・トンテキ)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13038831/