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丸丈(小笠原父島・海鮮料理)

丸丈

小笠原を代表する郷土料理といえば、島寿司。
(さわら)のづけを握ったもので、わさびの代わりに和がらしを薬味に使っています。身のパサつきやすい鰆の口当たりをよくするために漬け込んだのが始まりでしょうが、この店のものは漬けかたがあっさりしていて上品です。

丸丈

この島寿司、同種のものが沖縄県の大東諸島にも「大東寿司」として伝わっています。東京都と沖縄県、直線距離にして1,000キロもの海を隔てたふたつの島で同じ寿司があるのは不思議に感じられますが、これらふたつの寿司はともに八丈島がルーツ。

丸丈

かつて島の耕地に対して人口が過剰で、たびたび飢えに苦しんだ八丈島は、南方の開拓に多くの島民を送り出してきました。そのため、南の島の開拓の歴史には必ず八丈島の名が挙がります。八丈島からの移民が伝えた鰆のづけの寿司が、いまもふたつの島に根付いているのです。

人の移動とともに、食文化も移動する。
その実例を見るとほんとうに興味深いです。

丸丈

東京から南に1000キロの太平洋に浮かぶ絶海の孤島・小笠原諸島の父島。

丸丈

東京・竹芝桟橋から船に乗り、24時間も太平洋の荒波に揺られないとたどり着けないこの島は、たぶん東京都心から時間的にいちばん遠い日本でしょう。

クジラが潮を吹き、イルカが泳ぐ海など、それはもう語り尽くせないほど美しい自然があるのですが、しかし料理、とくに和食についてはあまり期待できないんじゃないかと思っていました。

なにしろ父島の人口は2,000人あまり。観光で食べている島とはいえ、その多くがドミトリー(2段ベッドの相部屋)の民宿かコンドミニアム。ホテルはあっても旅館と呼べるものは一軒もありません。

こんな場所ですから、海の料理と言っても単に切っただけとか焼いただけだったり、手がかかっていても高原のペンションの“なんちゃってフレンチ”のようなものが出てくるんじゃないかと高をくくっていました。
この店に出会うまでは。

丸丈

この店があるのは父島の中心・大村地区の繁華街。
店先は雑然としているのですが、いざ入ってみるとこじんまりとした居心地のいい空間です。寿司屋というよりは大衆割烹、小料理の雰囲気ですが、出てくる料理はすべてしっかりした技に裏打ちされたもの。
私なんかこの店が気に入り、6日間の滞在期間中、3回も通ってしまいました。

丸丈

魚料理でよかったのを挙げるとアズキハタはハタ、沖縄で言うミーバイの一種。珊瑚礁のなかでよく見られるまだら模様の魚ですがハタのなかでは高級品とのこと。食べてみるとたしかに身がしっかりしててほのかに甘く、クエに近い味です。それもそのはずで、クエもまたハタの一種とのこと。今回の小笠原の旅で食べた刺身で一番でした。

そしてこの店で勇気を奮って食べてみてほしいのがアオウミガメの料理。現在に伝わる、小笠原諸島独自の食文化です。

亀のどこを食べるのさ、と聞かれそうですが島では甲羅以外のすべてを食べるといってもいいほど。胸の近くの肉を刺身にするほか、ほとんどの身を一緒に煮込んだりします。

丸丈

刺身はルイベ(冷凍)で。臭みもなく、あっさりとした味わい。
まあ刺身についてはほかの店もあまり変わりませんが。

驚いたのは「亀のチャーシュー」と「亀のホルモン炒め」。

丸丈

「亀のチャーシュー」はチャーシューというより煮こごり。和風のしっかりしただしで煮込まれた亀の身からはたっぷりのコラーゲンが出てきれいな煮こごり状態。

こうした煮物は、通常はかなりのクセや匂いがあって普通の人には抵抗があるようですが、この店では下ごしらえをしっかりしているために亀の身のうま味だけを上手に引き出しています。知らずに食べたら何を食べているのかわからないほど美味です。

丸丈

「亀のホルモン炒め」も同様にまったく臭みがなくコリコリとした身からはじゅわっとうま味がしみだしてきます。少なめに添えられたゴーヤや玉ねぎとの相性もよく、酒がとまらなくなるほど。

丸丈

この店の主人の技術の前では、亀はゲテモノなどではなく、立派な他に代えがたい食材として昇華されているのです。

地元の魚を使ったきっちりとした和食・寿司を食べるもよし、亀の身の意外なまでに上品な味を楽しむもよし。

丸丈

10回にも及ぶ小笠原行きのなかで、この店の2階で宴会を催したこともありました。
そのときの料理のすばらしかったこと。

丸丈

和だけじゃなく中華のスタイルもあり、ここの主人の腕を見せつけられました。

丸丈

小笠原の漁業の対象となる魚は、メカジキやオナガダイ(ハマダイ)ほとんどで、そのほかはなかなか流通しないのですが、この店では主人自らボートを出して釣ってくるのでいろんな魚が食べられます。

丸丈

そうそう、島寿司はもし滞在中に店で食べる機会がなくても、帰りの船で食べられるよう折り詰めの予約販売も行っていますので、ぜひ一度食べてみてください。

父島を訪れたら、ここに寄らずして小笠原の食を語ってはならないと思えるほどの店。
ぜひ一度、その本格的な味に驚いてみてください。

 

 

 

 

 

「丸丈」(小笠原父島・海鮮料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1331/A133102/13095353/

みんみん(♂)とっておき!!支配人

福岡県生まれの九州男児。中学高校とブラスバンドに所属し、高校のブラスの先輩がタモリさんというのが数少ない自慢です。メディア関係の企業に就職し、転勤族だったため各地のおいしいお店を探して食べ歩きを始めたのがこのウェブサイトの原点。現在は、映像関係の会社を営んでいます。

店舗情報

店名 丸丈(小笠原父島・海鮮料理)
ジャンル 和食, 鮮魚, 寿司, 小料理・割烹
TEL 04998-2-2030
住所 小笠原村父島字東町
丸丈(小笠原父島・海鮮料理)
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交通手段 二見港から徒歩10分
営業時間 11:00~14:00(おがさわら丸停泊中のみ) 18:00~23:00
定休日 おがさわら丸入港前日

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