朝から飲めるまさしく場末の安酒場で、よもや白魚が刺盛りにつくとは思いませんでした。なんという素晴らしさ。
池袋西口の「ふくろ」。朝8時から酒が飲める、池袋でも最強の飲み屋です。
細長ーいロの字型のカウンターは反対側の客の姿があまりに近いため、ナイショの話ができません。でも逆にそれが妙なほのぼの感となって居心地の良さにつながっていて。
憎らしいのはこの店、安いくせに料理ひとつひとつがおいしいのです。
なかでも印象に残ったのが「豚かつ煮」(530円)。
いわゆるかつ丼のアタマというやつですが、私の生まれ育った九州では見たことがありませんでしたから、ご飯の上に乗っていない姿をみるのは不思議な気分です。つまり、カレーライスのカレー(ルー)だけを食べるような気分。
ただ、この店のは肉も厚くてしっかりしたものであり、味もしっかりしています。ああ、かつ煮ってこういう風に酒の肴として成立するのか、と教えてもらった気分です。
そのほか、メンチカツはあらびき肉に硬めの衣だけど、熱々でほんとにおいしくて。
メゴチのフライ。たぶん江戸前の天ぷらに使うというネズミゴチのほうのメゴチだと思うのですが、これがうま味がこくておいしい。
鱈ちり鍋もたっぷりの鱈と豆腐で650円とすごくお得。もちろんおいしい。
いつもはビール原理主義者の私も、この店では黒ホッピーに酔いしれてしまいました。
なお、8のつく日は料理が半額。ただでさえ安い料理が全部半額なのですから、朝から大混雑だそう。その代わり客の滞在時間も長く、待ち時間も半端ではなくなるそうです。
かつてアンダーグラウンドなイメージがあった池袋西口は、いまやきれいになって文化的な香りさえするようになりました。しかし路地に一歩踏み込めば、昔ながらのこうした店があり、オヤジたちが息づいています。
安くておいしい酒と肴をもとめて、探検してみてはいかがでしょう。
「酒場 ふくろ」(池袋西口・居酒屋)
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13003957/