ここのかつ丼は、私の理想にかなり近い気がします。(かつ重ですが)
肉の厚み、とじた卵の柔らかさ、だしの味と量、玉ねぎの量…。様々な点において私の好みに近く、高水準でまとまっています。
肉は赤身の密度が高い感じのもので、噛むとミシッという音がしそうな感じ。一方で脂身はぷるぷるで甘みを感じます。
端っこはまさに脂身の塊で、とんかつはまさにここがおいしい。その心理がよくわかっているカットの仕方です。
卵は、玉ねぎをよく煮込んだだしに、まさに揚げたてのかつを乗せ、すぐにかけたのがわかります。白身と黄身が混ざらない程度にゆるくとかれた卵が、白い大きな斑点を残しながら固まっていて、カツは白い腹巻をしているように見えるだけで、ほとんどの部分はそのまま。きちんと時間計算されていないとこうはならないという見本のような仕上がりです。
だしの量も多くなく、下のご飯がべちゃべちゃになることなく、白い部分が残っているところも絶妙です。
ただ、同じかつ重でも、「上ロースかつ重」(1,350円)よりは「かつ重」(865円)のほうがお勧めかもしれません。というのも「上」は肉がでかすぎるのです。かつ丼としては。
重箱のご飯の量の多さと相まって、食べていて途中疲れるというかお腹いっぱいになりましたから。
この店があるのは池袋東口。駅前の明治通りを北東に進み、いつの間にか本店になっているビックカメラの向かいをさらに進んだ交差点の角。
富士そばのすぐ横の細い階段が店の入り口ですが、最初にここにたどり着くのは至難の業。よほど注意してみていないと「とんかつ」の看板すら見落としてしまいます。
店内は意外と広く、テーブルがバラバラに置かれている感じ。しかし昼どきは満席になりますから、常連客が多いのでしょう。
ここのとんかつはビシッと肉に衣が密着している 感じではなく、うまく持たないとぼろっと 衣がはがれて落ちてしまう感じ。しかしこの衣がほんのり甘みがあっておいしく、 肉も厚みがあって大きく、さすが「上ロース」といった感じ。
といっても上ロースで1,200円、ロースで865円とあくまで庶民的な価格で頑張ってるところに好感が持てます。 ソースも柔らかい味で肉のうま味を隠さず、キャベツの味とも喧嘩せずで絶妙です。
エビフライにも挑戦してみましたが 聳え立つように置かれた大きなエビが3本と、まず見る者を圧倒します。 なかはしっかり詰まってぷりっ、こりっとした感触。タルタルソースも上品です。
冬季限定の「カキフライ定食」(980円)も大きい牡蠣が6個もあって非常にお得。また冬が来るのが待ち遠しくなるほどです。あと、しそ巻きかつも連れにひと切れ分けてもらい ましたが、真ん中にくるっと巻かれた紫蘇はでしゃばることなくいいアクセントでした。
最近、高級化を突っ走り高くなる一方のとんかつですが、やっぱり庶民の味として頑張り続け、おいしいものを提供するこういう店にこそ踏ん張ってほしいものですね。
やっぱり池袋でランチなら、ここか西口の 「キッチンチェック」あるいは「楊2号店」 のどれかでじゅうぶんな気がします。
「清水屋」(池袋東口・とんかつ)
https://s.tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13008961/