全部合わせても、とんかつ1枚分も食べてないのにこの満足感はなんなんでしょうか。
高田馬場「とんかつひなた」の食べ比べコース。
一頭買いした豚の各部位をそれぞれカツにし、ちょっとずつ食べてその違いを楽しむという趣向で、事前予約に限り午後3時スタートで受け付けています。
この日、コースに参加したのは我々のほか2組4名。
若いカップルとおじいちゃんふたりで、みんな興味津々の様子。
最初にきょう提供する肉を生の状態で見せてくれ、説明をしてくれたあとさっそく調理へ。
トップバッターはリブロース。
「最初は何もつけずに脂身だけで食べて、次に“あまみ”の塩とオリーブオイルで食べてください」。
そう言われるままに脂身をかじると、とろけんばかり。
塩とオリーブオイルで食べる赤身もおいしいこと。
次はロース。
同じ食べ方で比べてみると、こっちのほうがうまい。
いまになってみるとリブロースには血の味と臭いがほのかに混じっていたことに気づきます。
そしてヒレ。
これがもう驚くほど柔らかくてびっくり。
これまでロース絶対主義者でしたが、中高年でヒレを好む人が多いのがやっとわかった気がしました。
しきんぼ。
外モモの一部でサシが多く、加熱すると柔らかくなってまるでヒレのよう。店によってはこれをヒレとして出してるんじゃないかと思うほど。
ランプ。
お尻のあたりの肉で、やや硬いもののうまみも濃い。
トントロ。
頬から首にかけての部位で、とろっとした柔らかさ。
ここで初めてソースをつけて食べることが勧められましたが、からしも上質ですごくおいしかった。
ソースかつ丼。
しめの食事にお茶碗に軽く盛った程度のかつ丼。
ソースがさらっとしていて柔らかく、ちょこんと乗った柚子胡椒がまた絶妙に合うこと。
チャーシュースープ。
豚汁とどちらか選べますが、断然うまいのはこちら。
チャーシューのかけらがとろけるように浮かんでいてうまみの濃いこと。
デザートはグレープフルーツのコンポート。
さっぱりした酸味が満足感を高めてくれました。
肉はほんと、とんかつ一切れずつで、量は全然大したことはないはず。
しかしゆっくり時間をかけて食べる効果でしょうか、その満足感たるやフレンチのフルコースに匹敵しました。
これで3,000円。
時間が午後3時からなのでお腹のコントロールがやや難しいですが、それでもぜひ一度体験してみてください。豚肉の奥深さに目覚めますから。
「とんかつひなた」(高田馬場・とんかつ)
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130503/13204289/