ひとくちスープをすすった瞬間、去年夏のチベット旅行の思い出がよみがえりました。
蘭州拉麺(らんしゅうラーメン)。
今年夏に日本初上陸したこの中国の麺は、牛骨スープにパクチー山盛り、さらにラー油
たっぷりという独特のスタイル。
透き通ったあっさり味のスープに、むせ返らんばかりのラー油の辛さの組み合わせが絶妙で、パクチーの香りがまた食欲をそそります。
この麺の発祥の地・蘭州とは甘粛省の省都で、チベットへの入り口。
ムスリムの人々が多く、彼らのコミュニティで生まれました。
彼らムスリムの料理を中国では「清真料理」と呼びます。
イスラム教の戒律に従って処理した食材を使ういわゆるハラルですが、味が良いため漢族もよく利用するとのこと。チベットの旅の途中でも「清真」の看板を多く見かけました。
そして神保町のこの店も看板には「清真」。
本場の名店で修行した日本人が、初めて中国国外ののれん分けを許され開いた店という
ことで開店直後から評判となり、いまや大行列の店となりました。
今回、スープそのものの味を確かめたかったため、店員に頼んでラー油を別添えに。
薄く黄色がかった澄んだスープはうま味が強く、八角のようなスパイスの香りが印象的です。
ラー油をたっぷりかけ麺を手繰ると、うま味に辛味が混じりあって絶妙のうまさに。
ただ、細麺・平麺・三角麺から選べるなかで選んだ平麺は絡み合って食べにくいこと食べにくいこと。
おいしいのですが、もたもたしてる間にどんどんのびて増えていきます。
お腹いっぱいになってしまいました。
メニューは蘭州拉麺(880円)の一品のみ。
これに牛肉(200円)、パクチー(120円)の大盛り(別添え)が選べます。
ところで、ラーメンといえば日本では中華風の汁そば全体を指しますが、「拉麺」とは本来、麺の打ち方を指す言葉で、こねた小麦の塊を両手で引き延ばすことを繰り返して麺にするもの。
この店でも厨房の奥で両手を大きく広げ作っている様子が見られ、待ち時間も飽きま
せん。
これまで日本になかった麺ということで、昼も夜も大行列。
ありつくためには忍耐と気力が必要ですが、それでもなおこのうまさは味わってもらいたい。
ぜひ一度行ってみることをお勧めします。
「馬子禄(マーズルー)牛肉面」(神保町・ラーメン)
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13212190/