「ロースかつ定食」(1,100円)がお勧めです。
赤みの部分がみっしりとして食べ応えあり。衣はやや細かい感じで伝統的な硬さ。キツネ色にきちっと揚げてあります。個人的にはもうちょっと脂身が多いほうが好みですが、最近はやりの、ふわっと柔らかい衣をつけて低温の油でじっくり揚げるスタイルではない、古き良きとんかつの王道といた感じでしょうか。
この店があるのは西新宿。
新宿西口から新宿副都心の高層ビル街までの間は、区画こそ整然としているものの、実際の街としては
かなり雑然としたもの。その細い路地にある雑居ビルの2階にこの店はあります。
昼どきだけでなく、午後2時をすぎても行列が階段を埋めていることもあります。
この階段、傾斜が急でステップも小さいので、何かの拍子で落ちやしないかと非常に怖く、長く待っていると疲れます。
この店の定番であり、ランチタイムでは客の8割近くが注文している「とんかつ定食」。むかし850円だったのが950円になっていたものの、相変わらずご飯も豚汁もお代わり無料です。
ただ、昔はロースだったはずの肉が、もっと脂身が中に入った、ほのかに血の味のする部位に変わっていました。とはいえ肉は相変わらず食べ応えがあります。
一方、こちらがずいぶん前に撮った「とんかつ定食」のもの。違いがわかります。
ただまあ、逆にこれだけ地価や人件費が上がり続ける中で、西新宿でこの値段で提供を続けていることは称賛に値するでしょう。
ひとつだけ言うと、いまいちわからないのがこの店のキャベツの食べさせ方。
オレンジ色の液体が入ったボトルがあるので当然ドレッシングかと思ったら、スイートチリソース。甘くて辛いタイの調味料は、ちょっとキャベツには合いません。店内の掲示をよく見るとこのチリソースはカツのためにあるような感じで書かれていて、じゃあキャベツは何で食べればいいのか。やっぱりソース?
まあそこまで「古き良きとんかつの店」と言われればそうなのかもしれませんが、いまひとつ腑に落ちませんでした。
そのほか「スティックセット」という名のメンチカツとキスフライのセットを頼んでみました。
メンチカツは太さ3㎝弱、長さ15㎝くらいの棒状のものをふたつに切ったもので、キスは小さめのものをカラッと揚げてあります。これにおかわり可能な具だくさんの豚汁とごはんがついて700円という価格にも驚かされます。
まあでもとんかつ屋なのですからまずはとんかつ。とくに「ロースかつ定食」で実力を感じてみてください。
新宿西口付近で昼食を、というならまずはここでしょう。
「豚珍館」(西新宿・とんかつ)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13000809/