やかんの中からうどんがこんにちは。
博多うどんとはこういうものだ、という店主の勘違い(本当はやかんの中に追加用のスープが)から始まったという名物「ずぼらうどん」。
やはりこの店に来たからには食べないわけにはいきません。たとえキーマカレーうどんのほうがおいしく、人気だったとしても。
選んだのは三種あるうちの「もつずぼらうどん」です。
もつが4つ浮いた漆黒のつけ汁はかなり辛め。東京でもなかなかない辛さです。その中で、もつはぷりぷりでしっかりうま味を出しています。
麺は胚芽入りのくすんだ灰色っぽいもの。店内で手作りという麺の舌触りはなめらかで、細め。五島うどんのようです。
しかし、やかんからうどんを引っ張り出すのはけっこう面倒で、最後の方は一本も残すまいとムキになってしまうため、時間もかかってしまいます。まあ、それが楽しいとも言えるのですが。
そのほかのメニューは福岡の郷土料理が中心。
「ごまさば」は添えられたとろっとろの胡麻だれに自分でつけて食べるスタイル。
また、他の地域では筑前煮と呼ばれる「がめ煮」はひとつひとつが小さめ。味付けはごくあっさりしてて食べやすく、すぐ出てきますから、最初に頼むのにおすすめです。
おいしかったのは「黒おでん」。
しっかり煮込まれながら型崩れせず、琥珀色になった大根のおいしいこと。丸天の柔らかさも印象的ですが、何よりうどん屋だけあってだしのおいしさが傑出しています。
福岡における「うどん居酒屋」の先駆けを自称するこの店。1階のカウンター席、2階の板間とあり、ゆったりくつろげます。
場所は福岡市地下鉄中洲川端駅・祇園駅からともに歩いて5分の、櫛田神社の近くにある店。
郷土料理を肴に酒を飲み、ユニークなうどんで締める。福岡の夜を満喫できるいいお店だと思います。ぜひ。
「博多あかちょこべ」(福岡祇園・うどん/居酒屋)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400101/40019190/