俺は腹が減っていただけなんだ。
しかし、だからといってここまでのデカ盛りを頼まなくてもよかった。
俺はいま、思いっきり後悔してる…。
胃カメラが終わったのが12時30分。
「まだ麻酔が効いてますから食事は1時間後まで待ってくださいね」。
おいおい、昨夜9時から絶食している俺にさらに待てと言うのか?
じっとしていては1時間も耐えられない。ならば気を紛らすために遠出しよう。せっかくだから量の多い店に。
大江戸線に乗って、落合南長崎に。炎天下を歩くこと10分。
住宅街の真ん中にぽつりとその店はあった。いかにもな街中華。入ると厨房を囲むL字型のカウンターと2人がけのテーブルがふたつ。空いていた角の席に座る。
頼むのは「上チャーハン」と決めていた。
しかし出てきたものを見て、のけぞった。知っていたはずなのに、現物の迫力はまた違った。
ただでさえ巨大なチャーハンの山の横に、それを越えてそびえ立つ唐揚げの山。まるで溶岩。浅間山の鬼押し出し。
「上」とは、唐揚げが付くという意味。普通のチャーハンに150円プラスで、大きなものは拳ほどもある唐揚げが5個もついてくる。これで総額650円。マジか。
さっそくチャーハンから食べてみる。卵1個に冷や飯を投入し、白ネギではなく玉ねぎで作られたチャーハン。チャーシューは少し大きめに切られていて、歯ごたえはみっしり。全体に味は薄いため辟易するようなことはない。
唐揚げは衣が硬め。例えるならばケンタッキーのレッドホットチキンのようなガサガサした感じ。下味はさほど濃くなく、肉食ってるぅ、とダイレクトに感じられる。
ただ、5個はさすがに多くて全部食べるのに苦労する。しかしまあこのサービスたるや、客の方が心配になってしまうほど。
11:30の開店からもう2時間以上も鍋を振り続けているというのに、主人は当たりが柔らかで、奥さんもテキパキ。常連客と話したり仕事を楽しんでる。
うまいとかまずいとか超越した、なんか昔のままに冷凍保存された街中華の姿を見た気がした。
西武池袋線東長崎駅からも8分と決して便利な店ではないが、ぜひ一度腹を空かして訪れてほしい。
「松月」(東長崎・中国料理)
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