以前、「上かつ重」を食べたときはあまりピンときませんでした。
でも、久しぶりに来て頼んだ「ロースカツ定食」(840円)は、まさにとんかつらしいとんかつ。
豚肉らしいうま味があり、大きすぎず厚すぎず、衣もやや大きめながらガサガサせずサクサクっとした感じ。
また、脂身多めなのも嬉しい。だって脂身の甘さこそが豚肉のうまさの源泉なのですから。
そうそう、本来のとんかつってこんなものだったよね。安くておいしくてお腹いっぱいになって。飽食のなかで私たちが忘れてしまっていた記憶を呼び起こされたような気分です。
さて、この店があるのは夏目坂。東西線の早稲田駅を出て大学とは反対方向に登っていく坂です。途中、大きくカーブしながら分かれていく三叉路の角にある小さな店。
店内は「く」の字型のカウンターのみ。2階もあるようですがいまも使われているかどうかは謎です。
卓上にはソースと醤油ともう一本、謎の容器が。上に滲んだ手書きの文字が貼ってあり、解読すると「みそ」。名古屋風の味噌だれまで、この安い店に置いてあるとはちょっと感激です。
一方でアンデスの塩やオリーブオイルなどといった小洒落たものがあろうはずもなく(普通の食卓塩すらない)、キャベツもソースで食うしかないのはいまどき珍しく、抵抗はありますが懐かしい。
ご飯が水分多めでダマになってる感じが好みではないにしても、味噌汁には小さく刻まれた豆腐とわかめが入っていてきちんとおいしい。お手本のようなロースカツ定食でした。
ところで、メニューを見てて不思議だったのは「上ロースカツ定食」がないこと。
単品には「上ロースカツ」(950円)があるというのに。さらによく見ると「上ヒレカツ定食」もないのに単品の「上ヒレカツ」(1,150円)はあるのです。
「上」にこだわりがあるのでしょうか。上ロースカツにご飯と味噌汁を単品で揃えたら 1,250円にもなってしまいます。
今度行くときには上ロースカツで定食を頼んでみたいものです。
みなさんもぜひ。
「とんかつ豊」(早稲田・とんかつ)
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13080595/